- 2012年5月25日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
本日、名張毒ぶどう酒事件の第7次再審請求の差戻し審理において、名古屋高等裁判所刑事第2部が、再審請求を棄却した。アムネスティ・インターナショナル日本は、死刑確定事件に対しては、再審理の機会を保障して、より慎重な判断を行うべきであると考える。
本件は、弁護人の特別抗告により、最高裁の審理がなされることが予想される。裁判所の審理が継続する以上、検察は、刑事訴訟法442条ただし書にもとづき、直ちに奥西氏の死刑の執行を停止させるべきである。死刑は生きる権利を奪う取り返しのつかない刑罰であり、奥西氏に再審を受ける機会を保障すべきである。
アムネスティは、国際人権基準にもとづき、死刑囚に対する独房での拘禁という処遇の改善を求めてきた。日本政府は、「締約国は、死刑確定者を単独室拘禁とする規則を緩和し、単独室拘禁は限定された期間の例外的措置にとどめることを確保」すべきであるとする2008年の国連自由権規約委員会の勧告(最終見解パラグラフ21)を真摯に受け止めなければならない。政府および法務省は、奥西氏をはじめとする死刑囚の処遇改善に努めるべきである。
また、奥西勝氏は、逮捕時から数えて実に51年以上無実を訴え、現在86歳の高齢である。奥西氏の年齢と人道的見地に鑑み、恩赦の手続きの可能性も検討し、速やかな釈放を実現すべきである。
アムネスティは、あらゆる死刑に例外なく反対する。死刑は生きる権利の侵害であり、究極的に残虐で非人道的かつ品位を傷つける刑罰である。アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止への第一歩として、奥西勝氏を含めた全ての死刑囚について、公式に死刑の執行停止措置を取るよう要請する。アムネスティは、奥西氏の事件について、世界的な規模で支援の取り組みを続けていく。
2012年5月25日
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
関連ニュースリリース
- 2022年6月21日 [国際事務局発表ニュース]
日本:同性婚に対する「差別的」判決 平等への打撃 - 2021年12月21日 [日本支部声明]
日本:死刑執行に対する抗議声明 - 2021年6月 4日 [ブログ]
日本:LGBT差別禁止が必要な4つの理由 - 2021年6月 2日 [国際事務局発表ニュース]
日本:LGBTI 差別を決して許さない法案の提出を - 2021年5月27日 [公開書簡]
日本:性的指向や性自認に基づく差別禁止を法律に明記することを求める要請書