アフガニスタン:女性権利の犠牲者 今度は女性警官

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2013年10月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
トピック:女性の権利

ネガー警部補(38歳)は9月15日、警察本部付近でオートバイに乗った正体不明の武装した2人組みに首を打たれ、翌朝、病院で亡くなった。(C)AFP/Getty Images
ネガー警部補(38歳)は9月15日、警察本部付近でオートバイに乗った正体不明の武装した2人組みに首を打たれ、翌朝、病院で亡くなった。(C)AFP/Getty Images

アフガニスタンで最上級職の女性警察官が殺害された。同国の女性の権利を推進する上で、新たな後退となった。

ネガー警部補(38歳)は9月15日、反体制色の強いヘルマンド州の首都ラシュカルガーの警察本部付近でオートバイに乗った2人組みに銃で首を撃たれ、翌朝、病院で亡くなった。彼女は女性の権利の支援者として積極的に発言し、女性や少女に対する暴力に異議を申し立てていた。

アフガニスタンでは昨年、彼女の前任者やインド人作家、女性省の最高幹部2人など、社会的に知られた女性たちが、殺された。最近では、女性議員がタリバンの人質となった。

ここ数年で、女性の権利運動は大きく進展した。そして今、転換点にあると言えるだろう。以前より多くの女性が権威のある地位に就き、教育の機会も増え、女性や少女を暴力から守る新しい法律が作られた。しかし、女性が発言力と地位を得るにつれ、彼女たちは新たな脅威にさらされている。何人かの女性の権利擁護者は、報復を恐れて再び自主規制を始めているという。

アムネスティは、要職にある女性への襲撃が拡大し、女性や少女への暴力が日常化していることに、国内外の指導者たちが慣れつつあることを懸念している。女性の権利を守り、推進するために、もっとできることがあるはずだ。

カルザイ大統領は2009年、女性に対する暴力根絶法を大統領令によって制定した。しかし、規定の多くはいまだ履行されておらず、また、この法律全体を廃止しようとする動きさえもある。

アフガニスタン当局は国際的な支援のもと、女性の権利を守るために全力を尽くすべきである。具体的には、女性に対する暴力根絶法の全面的履行および確実に実施されるよう当局関係者全員の訓練などを行なう必要がある。

アフガニスタン独立人権委員会によると、近年、女性に対する暴力は全国的に「まん延し、増加の一途を辿っている」という。

過去一年以上にわたり、アフガニスタン全土、特に農村地帯で女性や少女に対する殴打、誘拐、殺害が報告されている。彼女たちは、配偶者や親戚、治安部隊員、タリバンを含む武装グループなどから、時には白昼公然と襲撃を受けている。

ネガー警部補の殺害をはじめとした女性への暴力犯罪は、迅速かつ徹底的に調査するべきである。そして犯罪に関与した者は、死刑を排除した上で公正な裁判にかけられるべきである。

アムネスティ国際ニュース
2013年9月16日

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