- 2014年3月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
再審決定時の様子。静岡地方裁判所前にて
静岡地裁は3月27日ついに、死刑判決を受けて45年以上独房に留められてきた袴田巌さん(78歳)の再審開始の決定を下した。アムネスティは、検察に対して地裁の決定を受け入れ、即時抗告しないよう強く求める。
元プロボクサーの袴田さんは、1968年に死刑判決を受け以来45年、世界で最も長く獄中に置かれてきたと思われる死刑囚である。不当な裁判によって、上司とその妻、2人の子どもを殺害したとして死刑判決を受けた。
静岡地裁は今朝、再審請求を認めた。検察は3月31日までに地裁の決定に即時抗告することができる。もし、即時抗告がなされると、再審を開くかどうかの審理が東京高裁でさらに続くことになる。その審理の結論がでるまで、1年以上かかる見通しである。袴田さんには、公正な裁判を受ける時間があまり残されていない。
再審を開始するとすれば、もう今しかない。袴田さんの有罪の根拠とされた証拠の適格性に、最新のDNA鑑定で疑いが生じた。
袴田さんは、20日にわたる警察の過酷な取り調べを受けて「自白」した。公判で袴田さんは、取調べ中、暴行や脅迫を受け、最後は無理やり供述書に署名をさせられたと証言している。
弁護士の話では、最新の鑑定では、本人のDNAと当時の犯人の着ていたとされる衣服から採取したDNAが一致しなかった。
一審で死刑判決を下した裁判官の1人は、当時無罪だと主張していたことを後に公にしている。
当局は袴田さんが受けた凄まじい取り調べを恥ずべきである。袴田さんは45年間以上、執行が今日なのか、明日になるか、という死の恐怖にさらされてきた。この過酷な環境は、死刑というそもそも残酷で非人道的な刑罰に加え、精神的な拷問である。
ほとんどの死刑確定者と同様、袴田さんも独居房に入れられてきた。 数十年の孤独な環境に置かれてきたため、精神の健康状態が懸念されてきた。
背景情報
アムネスティは日本政府に対し、死刑廃止に向けた第一歩として、死刑執行を停止するよう求めてきた。
日本の司法制度は長年、しばしば拷問や虐待などで強要した自白に大きく依存してきた。弁護士が同席できない取調べの期間にも、明確な制限がない。
アムネスティの調べでは、日本の取調べでは、殴打、脅迫、睡眠剥奪、長時間の座位や立位の強要などが常態化していることがわかっている。
アムネスティはまた、日本政府に対して国際基準に準拠した司法制度に改善するよう求めてきた。
アムネスティは、犯罪の性質や状況、有罪・無罪、個人の特質、執行手段などにかかわりなく、すべての死刑に例外なく反対する。 死刑は、生きる権利の侵害であり、最も残虐で非人道的かつ人間の尊厳を傷つける刑罰である。
アムネスティ国際ニュース
2014年3月27日
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