- 2014年4月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:
マシーさんが神を冒涜したとして逮捕された後、多数の暴徒がキリスト教信者の居住地を襲撃した。(C) Demotix
パキスタン当局は、同国の厳格な「神への冒涜法」により死刑宣告を受けたキリスト教徒の男性をすぐに釈放し、同判決を破棄するべきである。
道路清掃員のマシーさんは3月27日、イスラムの神を冒涜した罪により絞首刑と罰金20万ルピー(約35万円)を言い渡された。キリスト教徒のマシーさんは、キリスト教徒居住地があるラホール出身。昨年3月6日、口論の最中に神を冒涜する発言をしたという知人の告発を受けて、逮捕されていた。
これは司法の茶番である。この裁判の公正性には重大な懸念がある。知人との口論を根拠とした絞首刑などありえない。当局は、即時かつ無条件にマシーさんを釈放すべきである。
神への冒涜法の規定があいまいなことに加え、当局はまじめに捜査してくれず、暴徒や宗教集団による脅しもあるため、パキスタン全域、特に北東部のパンジャーブ州では、自警の動きが広がっている。
マシーさんの逮捕をきっかけに、彼の出身地のヨセフ・コロニーと呼ばれる地区で2日間にわたる暴動が起き、3000人強の暴徒の手でキリスト教徒が住む約200軒の家が焼き払われた。
警察は襲撃があるという通報を受けていたにもかかわらず、コミュニティを守る適切な手段を取らなかった。数十人の加害者は起訴されてはいるものの、有罪判決を受けた者はまだいない。
これは、冒涜罪でマシーさんが受けた過酷な扱いとはあまりに対照的で、ずさんである。神への冒涜法と同国の司法制度により、キリスト教徒など宗教的に少数派の人びとが差別されていることを明確に示している。
当局は、キリスト教徒の住居襲撃者らを全員、公正な裁判で裁くべきである。
パキスタンでは、神への冒涜は死刑となる。国際法が死刑を唯一認める「最も重大な犯罪」には該当しない。
アムネスティ国際ニュース
2014年3月27日
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