- 2014年8月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:企業の社会的責任
インドのオディシャ州でアルミナ精錬所を操業するヴェダンタ・アルミナム社は、工場を6倍に拡張する計画を進めている。この拡張計画に関する公聴会が7月30日、同州のランジガルで開かれたが、その内容は国内法も国際基準が定める規定にも違反していた。
地元住民はその拡張計画で多くを失うにもかかわらず、計画が及ぼす影響について適切な情報を提供されていなかった。公聴会の参加者によると、計画に反対する人は発言を妨げられたり発言の時間を与えられなかった。これまでに出されたすべての意見を記録している議事録は公開されなかった。いずれも国内法に違反している。
公聴会は、拡張に必要な森林伐採を認可する手続きの一環として開かれた。当局は公聴会の場で地元の人びとの意見を聞き、彼らの懸念に対処するはずだった。
地元先住民のリーダー、クムチ・マジヒさんは「その日の朝まで公聴会を開くという発表はなかった。村が被る影響についての話し合いもなかった。精錬所付近の住民にさえ何も知らされないのだから、他の村の状況については言うまでもない」と話した。
地元の活動家リンガラジ・アザドさんは、アムネスティに次のように語った。「話せたのはほんの数人だけ。主催者はこれまでの調査結果や議事録を公表もしなかった。私たちの反対意見が記録されたのかもわからない」
環境問題を扱う弁護士のプリヤブラタ・サタパシーさんは、「計画の影響についての話し合いは5分までとされた。与党メンバーが時間のほとんどを独占した。彼らは、『汚染はまったくない、工場は排出ゼロという基準を設けている』と繰り返した」と述べた。
精錬所周辺の12の村落に住む4000人から5000人は、これまでも操業で飲み水や生活水、大気などが汚染され、健康被害が懸念されている。700ヘクタールの精錬所を拡張するというヴェダンタ社の計画は、これらの地元住民の土地をさらに888ヘクタール買収することになる。
地元共同体も、精錬所の赤泥の池が有害廃棄物を含んでいるために、その危険性を懸念してきた。その池は共同体が、飲み水、生活水、家畜用などに使っている川に注ぎ込む小川から1キロほどしか離れていない。
現在の環境アセスメントは、操業中の精錬所が引き起こす、国際人権法と国内法の違反に対処しておらず、今後の対応策もない。環境アセスメントには健康への影響、健康被害調査データ、あるいは過去の汚染や廃棄物管理の不手際による影響に対する改善策がない。
同国最高裁判所、元環境森林大臣、さまざまな国内外の専門家らは、精錬所が違法行為を是正する必要性を強調してきた。国と州政府は、現在起こっているすべての問題に対処し、地域住民としっかりと協議した上で、人権への影響に対する評価を公正かつ適切に行わなければならない。それまでは精錬所の拡張はないことを確約しなければならない。
アムネスティ国際ニュース
2014年8月1日
関連ニュースリリース
- 2024年2月 5日 [国際事務局発表ニュース]
インド:当局はイスラム教徒家屋などの取り壊しの停止を - 2022年10月28日 [国際事務局発表ニュース]
インド:人権活動家に無罪 弾圧に対する正義の勝利 - 2022年6月21日 [国際事務局発表ニュース]
インド:反政府デモ参加者の拘束や家屋破壊 即時停止を - 2022年5月26日 [国際事務局発表ニュース]
インド:最高裁 扇動法の一時停止を命令 - 2022年4月18日 [国際事務局発表ニュース]
インド:ムスリムらの家屋取り崩し 即時停止を