- 2014年10月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フランス
- トピック:強制立ち退き
ボビニーに住む200人以上のロマに、立ち退きが迫っている。(C) Francine Bajande
フランス当局が今週、パリ郊外のボビニーに野営するロマの人びとに対し強制立ち退きを執行すれば、数十の家族がホームレスになってしまう。
ボビニーの無認可の居住区に住むロマの200名以上が、48時間以内の強制退去を迫られている。その多くは代替住居を提供されていない。強制立ち退きが執行されると、多くの家族は人権を奪われ、路上生活に追いやられる。
当局は、ロマの人びとと十分な協議を行い、当事者が受け入れられる適切な代替住居を提供できるまで、執行を中止すべきである。国際人権基準は、「立ち退きの執行により、ホームレスが生まれたり、他の人権侵害を受けやすい状況を作ってはならない」と規定している。
ボビニーの高等裁判所は7月、「立ち退きは家族と個人の生活権の侵害である」と判断を示した。にもかかわらず、立ち退きが執行されようとしている。高裁はまた、立ち退きが緊急に必要だという当局の主張にも異議を唱えた。
さらに、当局が提案した代替住居はロマの家族には不適切なものである。家族向けに建てられたものではなく、いくつかの家屋はパリ郊外の外れにあり、ボビニーの子どもたちが現在通う学校からは、はるかに遠い。
当局は8月に同居住区の社会アセスメントを実施し、その結果に基づいて今回の立ち退きを計画した。しかし、代替住居提供の対象となったのは、学齢期の子どもがいる家族だけであった。その上、アセスメントの実施時期が学校の休暇時期と重なったため、こうした家族の多くが不在で、聞き取りや住居提供の話を受ける機会を逃した。
真摯な協議をせず、適切な代替住居の提供もなく立ち退きを実施すれば、その行為は、国際人権法が禁じている強制立ち退きになるだろう。
強制立ち退きが執行されれば、ロマの人々は悲惨な状況に追い込まれる。また、ロマの家族らを地域社会に溶け込ませるために行われてきたここ数カ月の努力が無駄になる。
アムネスティ国際ニュース
2014年10月20日
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