- 2014年11月13日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:企業の社会的責任
汚染された池のまわりで遊ぶ子どもたち (C)Amnesty International
1984年12月2日、インド中部の町ボパールで米国ユニオン・カーバイド社の殺虫剤工場が有毒ガスの漏出事故を起こし、多数が亡くなった。被災者は50万人にのぼるという。
アムネスティ・インターナショナルはこれまでユニオン・カーバイド社に対して事故の責任を追及してきた。この追及に、ハリウッド映画スターのマーチン・シーンさんが加わった。
マーチン・シーンさんがユニオン社の最高経営責任者を演じる『祈りの雨』は、ユニオン・カーバイド社の化学工場から漏れた猛毒ガスで、住民50万人以上が被災した大事故を、迫真のタッチで描いた映画だ。ドラマ『The O.C.』で有名なミーシャ・バートンとシリーズ映画『ハロルド&クマー』のカル・ペンも出演している。『祈りの雨』はロサンジェルスで11月7日に公開された。
「当時の生存者は今も健康被害に苦しんでいますが、まともな医療を受けられないでいます。ボパールの被害者たちは30年間に渡り、現在はダウ・ケミカル社が所有するユニオン・カーバイド社の責任を追及し、正義と公正な補償と医療のために闘い続けています」とマーチン・シーンさんは話す。
「これは避けられない事故ではありませんでした。ガス漏れ事故の前も後も、工場は十分な予防策を講じることができたはずであり、その責任を問われるだけの証拠があります」
ユニオン・カーバイド社はこの30年間、インドにおける刑事責任から逃げ回り、2001年に同社の全経営権を取得したダウ・ケミカル社も、この災害と、今も続く工場跡地の汚染問題に距離を置いてきた。
ユニオン・カーバイド社の工場跡地に残留した化学物質は、今も周辺住民に被害を及ぼしている。親会社のダウ社はこの恥ずべき事故の責任を取り、汚染物質の除去を徹底し、ユニオン・カーバイド社が、「正義からの逃亡者」(裁判所での言葉)であることを認めるべきである。
ガス漏出事故から30年目が近づくにつれ、ダウ社への圧力が高まっている。ユニオン・カーバイド社がボパール裁判所で過失殺人容疑の答弁を拒んだことについて、11月12日、ダウ社に対してインドで法廷審問が開かれる。
ダウ社はインドにとって重要な投資者だ。それだけにモディ首相は、同国住民の権利を侵した国際企業に対し、どれくらい強い姿勢で挑むかを明確にしておく必要がある。
オバマ大統領とモディ首相は先日、「両国の絆は、正義と平等という共通の思いに根付いている」ことを確認した。
地域住民を守る環境基準をすり抜け、インドのような国から搾取するダウ社のような国際企業に対し、米国とインドはともに挑まねばならない。そしてこの機会に、人命を、国際企業の投資と引き換えにしてはならないことを、世界に伝えるべきである。
アムネスティ国際ニュース
2014年11月7日
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