- 2014年11月25日
- [公開書簡]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
上川 陽子 法務大臣 殿
岸田 文雄 外務大臣 殿
2014年11月24日
国連総会における「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議
に関する要請書
公益社団法人 アムネスティ・インターナショナル日本
事務局長 若林秀樹
第69回国際連合総会が開幕し、「死刑の廃止を視野に入れた死刑執行の停止」を求める決議が本年11月中旬に採択される予定である。アムネスティ・インターナショナルは、 日本政府に対し、同決議に賛成するよう強く求める。
第1回の同決議(62/149)は、2007年の国連総会において採択され、死刑制度を保持する国ぐにに対し、死刑に直面する者の権利を保障する国際的な保障措置を尊重し、死刑が科される可能性がある犯罪の数を削減し、死刑の廃止を視野に死刑執行を停止することを要請した。
この死刑の制限と最終的な廃止を目指す決議は、2007年、2008年、2010年、2012年にも同様に採択されている。この決議は、地域を越えて世界の国ぐにが賛成 票を投じ、その数は毎年 増えている。2007年は賛成国が104カ国であったところ、2012年は111カ国に増加した。同時に反対国は、2007年の54カ国から2012年の41か国に減少した。2013年には、国連加盟国193カ国のうち、173カ国が死刑執行を行っていない。もはや世界的に死刑廃止が実現しつつある。
しかし、日本政府は、過去4回のいずれも反対している。本年すでに日本は2度の死刑執行を行い、3名が処刑された。安倍政権下では、2006年の第1次安倍内閣時と合わせて2年半あまりの間に通算21人という、近年の政権にはない人数を処刑した。明らかに世界の動きに逆行している。
さらに、本年7月、国連自由権規約委員会の第6回日本政府報告書審査において、日本政府はあらためて、死刑制度の廃止を含む勧告を受けた。中でも、えん罪の可能性が高い判決であるにもかかわらず48年拘束された袴田巖さんの事件は、同委員会でも注目され、昼夜独居処遇による収容体制の見直し、情報の十分な開示、死刑事件における義務的かつ効果的な再審査の制度の確立、および拷問等による自白の証拠不採用など、委員会は厳しい勧告を出した。
その直後である8月の死刑執行は、死刑廃止に向かう国際社会への挑戦にほかならない。死刑は、生きる権利の侵害である。国家が生命を奪うという最も残虐で究極的な人権侵害は直ちにやめなければならない。日本政府は、死刑廃止に向かう世界の潮流に反し、これ以上反対票を投じることは許されない。
アムネスティ・インターナショナルは、日本政府に対し、この決議に賛成するよう強く要請する 。
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