- 2015年3月31日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
ビルマ(ミャンマー)の裁判所は3月17日、ヘッドフォンをつけた仏像を飾っていたことで「宗教を侮辱した」として、バーの幹部2名とオーナーを有罪として実刑を言い渡した。この判決は、宗教に不寛容な風潮が強くなりつつあることを示すものだ。
判決を受けたのは、ビルマ人のトゥントゥーレインさんとトゥッコーコールウィンさん、ニュージーランド人のフィリップ・ブラックウッドさん。3人は2014年12月、店の宣伝のためにヘッドフォンをつけた仏像の画像をインターネットに掲載したというだけで起訴された。
この判決は同国の表現の自由にさらなる打撃となる。国際人権法は、表現の自由への制限を認めているものの、その範囲は明確に決められ限定的だ。今回の件はその範囲内とは言い難い。判決は即座に撤回されるべきである。
ビルマでは近年宗教に不寛容の機運が目に余るほど高まっているが、強硬派の仏教国粋主義団体により煽られていることが多い。その結果、非仏教徒、とりわけイスラム教徒への敵意や差別の意識が強まっている。
宗教の自由がどんどん制限されてきていることは、憂慮すべき展開だ。強硬派の仏教国粋主義団体が発信する巧言の影響力が強くなりつつあることも、同様に懸念される。政府は国内がこの好ましくない傾向を転換するために可能な措置をすべて実施すべきであり、今回のような起訴で、状況を悪化させるべきではない。
背景状況
今回の事件は、ビルマで宗教的緊張状態が高まっている中で発生した。国内外のNGOは、強硬派の仏教国粋主義団体が敵意、暴力、差別を扇動するために過激な言葉を使っていることに懸念を強めている。しかし、政府は増えつつあるヘイトスピーチ問題に対して具体的な行動をまだ起こしていない。
2014年12月4日、ライターのティンリンウーさんもザガイン地域のチャウンウー郡裁判所により宗教冒涜容疑で起訴された。文芸イベントでのスピーチで仏教を差別の道具として使うことを非難したことがきっかけだ。現在公判中で、最高で実刑3年を受ける可能性がある。
アムネスティ国際ニュース
2015年3月17日
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