エルサルバドル:人権侵害者に恩赦は無用

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2015年4月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:エルサルバドル
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エルサルバドルの国内武力紛争時の拷問や超法規的処刑の責任が問われているエウヘニオ・ビデス・カサノバ元防衛相が米国から同国へ送還された。同国にとって当時の人権侵害の責任を問う好機である。

同氏は1979年から1983年まで国家警備隊長官を務め、その後1989年まで防衛相の地位にあった。2012年2月にフロリダの移民裁判所は、1980年から1992年まで武力紛争時に治安部隊が犯した重大な人権侵害における同氏の責任は大きいとして、強制送還の命令を下した。12年間の紛争中に75,000人以上が殺害された。

しかし、1993年に制定された恩赦法(和平安定化のための恩赦法)は、武力紛争中の人権侵害の被害者が法に訴える上で大きな障壁となってきた。

すでに2000年に同国の最高裁判所憲法評議会は、恩赦法は基本的権利の保護と擁護に関する事案には適用されないと判断していた。人権オンブズパーソンによれば、この憲法評議会の決定が実践されていないことも、人権侵害が裁かれずに被害者たちが苦しんでいる要因の一つだという。

米州人権裁判所は2012年にエルサルバドルに対し、容疑者の刑事責任を問うための調査、判定、訴追および最終的な処罰において恩赦法が障壁とならないように命じている。

恩赦法は国際法に準拠せず、また何千もの人権侵害の被害者やその家族に対する侮辱である。今こそこの法を撤廃し、紛争中に起きた拷問、強かん、殺人、強制失踪などすべて事案を調べ上げ、容疑者全員を裁判にかけられるようにすべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2015年4月13日

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