メキシコ:軍の命令が22名の人々の虐殺の引き金に

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. メキシコ:軍の命令が22名の人々の虐殺の引き金に
2015年7月12日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:メキシコ
トピック:

メキシコで国の複数の委員会が、昨年6月の犯罪組織メンバー22人の死亡は、軍による処刑だった、と報告していたことが明らかになった。

2014年6月30日にトラトラヤで武装犯罪組織との銃撃戦があり、組織のメンバー22人が死亡した。国防長官は銃撃戦の最中の死亡だと説明したが、国家人権委員会と特別議会調査委員会がそれぞれに行った調査は、ほとんどのメンバーは、降伏した後に兵士に銃殺されたと結論付けた。

最近、明るみになった軍の内部資料によれば、この殺害は「犯罪者を倒せ」という命令の結果であることを示唆している。当局は、早急に調査すべきである。

7月2日、メキシコの人権団体は、軍が出動する際に受けた命令を入手して公表した。それによると、第102歩兵大隊は昨年6月11日、軍の出動に当たり「多くの犯罪は夜間に起こる。暗闇で犯罪者を倒すため、部隊は日中の活動は控え、夜間に大規模な作戦を遂行すること」という命令を出していた。

この命令に基づいて、部隊は行動し、殺害が行われた。6月30日の作戦遂行後、部隊は「犯罪者22人を倒した」と、報告した。

この文中の「倒した」という言葉は、ここでは紛れもなく「殺害」を意味する。この用語は長年、数多くの軍のプレスリリースで、同様の意味で使用されてきた。軍隊の指令が裁判なしの処刑につながったと結論づける上で、妥当な根拠がいくつかある。

命令文は総じて、人権基準の尊重を求めているが、肝心な部分で使用されている言葉は、部隊に犯罪容疑者の殺害を指示しているとみられる。

エンリケ・ペーニャ・ニエト大統領は、軍の行為を強く非難する声明を出すこと、また、人権の尊重を公約し、国の治安維持における軍の行動について、第三者機関による迅速で徹底した捜査を指示しなければならない。これらは、極めて重要である。

長年にわたりアムネスティは、多数の事件にメキシコ軍が関与してきたことを確認してきた。民間人の裁判なしの処刑、強制失踪、拷問、恣意的拘禁、性暴力犯罪などの国際法違反の犯罪、人権侵害などである。

アムネスティ国際ニュース
2015年7月3日

関連ニュースリリース