- 2016年11月18日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
ミャンマー政府は刑務所改革を機に、受刑者の虐待や劣悪な環境といった過去と決別し、国際人権基準に沿った刑務所法を導入すべきだ。
同国の刑務所は、人権侵害の温床として国際的にも悪名高い。政府と議員がともに刑務所改革を検討していることは喜ばしいことだ。実際、議員の多くはまさにこういった刑務所に収監され拷問など過酷な扱いを受けてきた。今こそ、現在の受刑者が自分たちと同じ扱いを受けない体制を保障する時である。
2015年7月に出された刑務所法案は、長年続いてきた法規から格段の改善が見られる。現行法規は何十年にもわたり、受刑者に過酷な状況を強いてきた。拷問が横行し、監房はすし詰め状態で、衛生的な水や十分な医療はなく、懲罰房や強制労働などの刑罰もあった。
しかし、法案はまだ国際法の基準にははるかに届いていない。この案では、拷問や虐待が禁止されず、不法な拘禁や強制労働など悪評の要因となった人権侵害を防ぐ措置が盛り込まれていない。
今のままの内容では刑務所の人権侵害はなくならないだろう。刑務所環境を本気で改善し、被収容者への暴力行為に終止符を打ちたいならば、刑務所の闇の部分に光をあて、意欲的な改革策を実行していかなければならない。
長い間内情が秘密にされてきた刑務所の透明性を高めるためには、第三者による刑務所内の監視活動や受刑者の苦情を受け付ける第三者機関の設置などが必要だ。
法案には、健康・食事・水・収容設備・衛生面などで最低限の基準を保障する条文を入れることを求めたい。また、未成年や女性らの特有のニーズに対応する条文、また刑務官の力の行使を規制する条文も不可欠である。さらに、拘束道具の使用や懲罰としての長期の独房使用など、問題のある項目の削除も求める。
100年以上も前の現行法規を廃止し、新法を導入する理念は納得ができる。ここに記した提案は、異常な刑務所環境に風穴を開け、受刑者の社会復帰を最大の狙いとする刑務所制度に変えるためのものだ。
背景情報
刑務所法案は、治安維持、再犯防止、犯罪者の社会復帰などを促進する目的で2015年7月に提出された。
アムネスティ国際ニュース
2016年11月10日
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