ミャンマー(ビルマ):ミャンマーからのロヒンギャ難民を押し戻す

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2016年12月 1日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:難民と移民

ミャンマー(ビルマ)政府が北部ラカイン州のロヒンギャの人びとに、集団的懲罰の無差別弾圧を加えているため、数千人の難民が国境を越えて隣国のバングラデシュに流れこんでいる。しかしバングラデシュは、彼らが人道支援を切実に必要としているにもかかわらず、無理やりミャンマーに帰している。これは、はなはだしい国際法違反である。

10月9日、ラカイン州の国境検問所3カ所が襲撃され、国境警備隊員9人が殺害された。その報復として、治安部隊がロヒンギャを無差別に弾圧し始めた。この弾圧を逃れるため、ロヒンギャの人びとの一部は、国境のナフ川を越えてバングラデシュにも避難している。

アムネスティはバングラデシュとミャンマーにいるロヒンギャの人たちに話を聞いたが、ミャンマーの治安部隊はヘリコプターから銃撃したり、家屋数百軒を焼き討ちにしたり、人びとを拘束したり、少女や女性を強かんしていたという。

ミャンマーとの国境の街コックス・バザールには大勢のロヒンギャ難民が暮らしているが、ここでは食糧不足と医療不足が深刻だ。

強制送還

バングラデシュは、ロヒンギャ難民や庇護希望者がミャンマーから流入してくるのを厳しく取り締まってきた。11月半ばには、国境警備隊が、ロヒンギャ数百人を拘束し強制的に送還した。

この対応は、国際法上のノン・ルフールマンの原則に違反している。この原則は、人びとを重大な人権侵害を受ける危険のある国や場所に強制的に送り帰すことを、いかなる場合でも禁じている。

バングラデシュ当局はまた、ミャンマーとの国境を閉鎖し、国境警備隊を配置して要塞化している。バングラデシュ政府は、1992年以降ロヒンギャの人びとに難民の地位を与えない政策をとってきた。

ロヒンギャの難民と庇護希望者数千人が、最近バングラデシュに入ったと思われる。11月21日以降では、少なくとも2,000人がナフ川を渡っており、そのあとも続々と流入している。

ロヒンギャの人びとをこれ以上の苦難にさらすようなことはしてはならない。迫害から逃れてきた難民として、ロヒンギャの人びとを受け入れ、保護するべきだ。

非人道的な環境

バングラデシュのコックス・バザールにいるロヒンギャは、間に合わせの小屋で暮らしている。彼らは、かなり前にミャンマーから逃れてきた人びとだ。

ここでは飲み水と食料が不足している。同地域で支援活動にあたっている人の話によると、住人はすでに深刻な栄養失調状態にある。

ここ最近の難民の流入は、すでに現地に根づいているロヒンギャの人びとにとっても計り知れないストレスとなっている。それでも新参者を、窮屈な住まいに迎え入れている。

1人の男性がアムネスティに語った。

「私は、家族でただ1人の稼ぎ手だ。家族は7人だが、1週間前に着いた家族と15人でこの小さな小屋で一緒に住んでいる。今朝は、何も食べるものがなかった」

到着した人の多くは、健康状態が悪く、治療を必要としている。銃撃で怪我を負ったまま国境を越えてきた人は、拘束や送還を恐れて、近くに診療所があっても治療を受けてはいない。

また、多くの貧しいバングラデシュ人も、ミャンマーからの新たな到着者を歓迎し、支援を申し出ていた。しかし、困窮する人びとの寛容さに頼る事態は、長続きしない。バングラデシュ当局は、激しさを増す弾圧から逃れてきた人びとに対して、支援団体が自由に接触できるようにしなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2016年11月24日

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