ハンガリー:NGOの信頼失墜を狙った法案

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2017年4月15日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ハンガリー
トピック:

ハンガリー政府は、NGOの「資金の透明性の強化」の名目で新法を成立させようとしている。これが導入されれば、外国からの資金を受けているNGOの信頼性は失墜し、弱体化につながるおそれがある。

外国から年間24,000ユーロ以上を受け取っているNGOは、「外国資金受け取り団体」となり、この呼称を全出版物に表示することが義務づけられる。

政府はこの法律を、マネーロンダリングと国際的なテロを防止する対策の一環だと主張している。「外国から資金を受けているNGOは外国の利益に配慮した活動をする可能性があり、結果として国の主権と治安が脅かされるおそれがある」という論法のようだ。しかし、当局の真の狙いは、「外国からの資金を得ている」というレッテルを貼ることにより、NGOの働きをおとしめ、市民にNGOに対する反感を持たせることにある。市民社会の批判的な声を抑え込み、信用を失わせたいのだ。

「透明性の強化」を謳っているが、現在の法律でもNGOは外国から得た資金の届け出を義務づけられており、当局はいつでも監査できることになっている。

ハンガリーのNGOは、法の支配の促進、難民や移民、社会から疎外されている人びとの擁護など様々な分野で活発に活動し、国に代わって社会的、法的サービスを提供してきた。

法案はロシアで2012年に発効した「外国エージェント法」を想起させる。発効以来ロシアのNGOは、さまざまな制約に苦しめられてきた。多くの団体の評価は下がり、煩雑な手続きに疲弊して仕事が行き詰っている。

ハンガリーの数百のNGOは、団結して声を上げ、表現の自由と結社の自由の権利に対する周到に計画された圧力をはね返すべきだ。法案は、ヴィクトル・オルバーン首相が進める非自由主義的民主主義への大きな一手であり、EU加盟諸国は強く反対すべきだ。首相は熟慮し、この法案が二度と審議されないよう適切な措置を講じなければならない。

アムネスティ国際ニュース
2017年4月7日