- 2017年7月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:EU
- トピック:難民と移民
アムネスティは、地中海中部で捜索・救助活動を行うNGOに対する行動規範案を入手した。イタリアが起草したもので、7月6日に欧州司法・内務理事会の非公式会合でまず提案された。
行動規範案が現実のものとなれば、NGOの活動は阻害され、数千の難民や移民が新たに海上で命を落とす危険性が出てくる。
同案の骨子は、次の通りだ。
- NGOが救助のためにリビア領海に立ち入ることを禁止する。
- 今にも沈没しそうな船にNGO船の位置を知らせるライトの使用を禁止する。
- NGO船が救助した難民らを他の船に移すことを認めず、彼らが出発した港に戻って下船させる。
これでは、NGOの救助船は長時間、活動が必要とされている海域に入れなくなり、より多くの犠牲が出ることになりかねない。
行動規範案には、NGOが規範に署名しない場合、あるいは署名しても規範に違反した場合、イタリアの港への停泊を認めないとする脅しのような文言もある。
もし行動規範が必要ならば、海上での迅速で効果的な救助活動を促進するということを目的に据えなければならない。下船に関する決め事を入れるべきではないし、何より捜索・救助に携わる者と協議の上同意を得るべきである。
しかし、イタリアの案は、速やかな救助作業と安全な港での下船を妨げる可能性があり、海に関する国際法の下での義務も侵害することになる。
現在、NGOに対する各国の風当たりが厳しくなっている。その最中での今回のイタリアの提案である。イタリアは一方で、他のEU諸国に対して救助と船の受け入れでの応分の負担を求めている。
しかし、EU(欧州連合)と加盟国は、イタリアはじめ難民が最初に到着する国々が求めている応分の支援と援助を提供していない。
NGOが地中海で難民らの救助活動をしているのは、EUがやらないからである。海上での難破などによる多大な犠牲者数、あるいはリビアで庇護希望者らが受けている壮絶な人権侵害を思うと、EUはイタリアと協力してリビア沖に限らず、海上での捜索・救助を強化すべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2017年7月12日
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