- 2018年6月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
東京高裁前で「不当決定」の垂れ幕を掲げる弁護士
48年も拘禁されていた袴田巌さん(82才)の裁判で、東京高等裁判所は6月11日、静岡地裁の再審決定を取り消し、再審開始を認めない決定をした。
この決定は、事実に反する、不正義極まりない決定である。自白は強要されたものであり、DNA鑑定結果が投げかけた判決への疑念は残ったままである。
逮捕から50年、ねつ造された証拠に基づく不当な裁判の開始から50年、袴田さんに残された時間はない。袴田さんの弁護団が特別抗告をしたならば、直ちに審理を開始すべきである。袴田さんは高齢の上、長年の独房での拘禁生活で、精神の病を患っている。
このような袴田さんを再度収監することは、精神障がいや高齢の問題を抱える人に対する国際的な保護措置に違反するだけではない。ただただ残虐である。
袴田さんが正義を求めて闘いを続ける間、人道的視点に立ち、この後も自宅で生活を認められるべきである。
背景情報
元プロボクサーの袴田さんは、1968年に死刑判決を受けて2014年3月に釈放されるまで、46年間、独居房に入れられていた。これは、死刑囚として世界で最も長い投獄である。袴田さんは1966年、働いていたみそ製造会社の専務一家4人を殺害した容疑で逮捕され、不公正な裁判の末、死刑判決を言い渡された。袴田さんは、弁護士の立ち会いがないまま、20日間に渡り取調べを受け、自白したとされた。しかし、袴田さんは公判で、20日間の警察の取調べ中に暴行や脅迫を受け、自白を強いられたと、自白を撤回した。
静岡地裁は2014年3月、新たに提出されたDNA鑑定結果などに基づき、有罪は極めて疑わしいとして、釈放を決定した。
2008年、2回目の再審請求後、裁判所の求めで検察側は600以上の証拠を開示したが、その中にも、当初の証拠の信憑性に疑念を投げかけるものがあった。再審開始の決定は、これらの証拠にもとづくものだった。
アムネスティは、犯罪の種類や状況、犯罪の有無、個人の特質、死刑執行方法などを問わず、例外なく死刑に反対する。
アムネスティ国際ニュース
2018年6月11日
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