- 2018年12月27日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、岡本啓三さん(旧姓河村)(60歳)と末森博也さん(67歳)の2人に対して死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。
7月のオウム真理教元幹部ら13人の大量死刑執行から、わずか5カ月後のことである。この事態に、日本が大量処刑への道を歩み始めたのではないかと、アムネスティ・インターナショナル日本は、深い失望と懸念を表明する。
岡本啓三さんは、再審請求中の執行であったという。国家が国民の命を奪う死刑制度では、慎重な審理を尽くす必要がある。「国連の死刑に直面する者の権利を保障する保護規定」は、上訴中など手続き中の死刑の執行を禁止しており、再審請求中の死刑確定者の執行はこの規定に違反する。
公正な裁判のためには、再審の機会を保障しなければならない。それ故に再審請求中の死刑執行は上述のように国際法でも禁止されているが、現政権は2017年、1999年を最後に行っていなかった再審請求中の処刑を3人に対して行った。今年7月に処刑された者の中にも、数人が再審請求中だったとみられる。今回の執行で、命を軽視する政府の姿勢が浮き彫りになったかたちとなり、大きな懸念が残る。
従来と同様、今回の執行も事前の予告はなく突然行われた。人権の中でも最も基本的な権利である生きる権利を侵す死刑という制度は、人権を保障すべき現代の刑事司法にあっては、廃止すべき制度である。
国際社会では2017年末時点で、既に106カ国がすべての犯罪において死刑を廃止し、36カ国が事実上、死刑を廃止している。また、今年12月の国際連合総会では、死刑執行停止決議が過去最多の121カ国の賛成により可決されており、世界は今、死刑廃止に向けて大きく動いている。そんな中、7月の大量死刑執行に続く今回の2名の死刑執行は、日本政府が完全に世界の動きに逆らっているかのようにさえ見える。
日本政府が、人権の原則に立ち戻り、死刑執行を停止し、死刑廃止に向かうことを、アムネスティ・インターナショナル日本は、強く期待する。
2018年12月27日
アムネスティ・インターナショナル日本
※死刑執行抗議声明における「敬称」について アムネスティ日本は、現在、ニュースリリースや公式声明などで使用する敬称を、原則として「さん」に統一しています。また、人権擁護団体として、人間はす べて平等であるという原則に基づいて活動しており、死刑確定者とその他の人々を差別しない、差別してはならない、という立場に立っています。そのため、死刑確定者や執行された人の敬称も原則として「さん」を使用しています。
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