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ブラジル:違法な土地収奪と伐採 窮地の先住民族

2019年5月18日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ブラジル
トピック:先住民族/少数民族

アマゾン熱帯雨林で先住民族の土地が侵入者によって奪われ、森林が伐採されるなどの被害が拡大している。先住民族の人びとは、抜き差しならない事態に置かれており、国や自治体が対策に乗り出さなければ、侵入者との間の衝突に発展するおそれもある。

アムネスティは今年4月、ブラジル北部の3つの先住民族保護区を訪れ、住民23人に聞き取りをした。カリプナ族、ウル・エウ・ワウ・ワウ族(どちらもロンドニア州)、アララ族(パラー州)が暮らす地区だ。また、政府機関の担当者、検察官、NGO担当者など同地域の不法侵入問題に詳しい13人にも話を聞いた。

先住民族の長老は、不法侵入に抗議すると殺害の脅しを受けると話した。乾期(5・6月から10・11月)は、森林への立ち入りや野焼きが容易なため、あらたな侵入が起こりやすい。その結果、侵入者から受ける脅しが激しくなり、先祖伝来の土地を守るにも限界に近づきつつある。

NGO担当者によると、侵入者たちは、地元の農民や議員から土地収奪や木材販売を煽られ、支援を受ける地元民であることが多い。

先住民族の人びとが、侵入を防ぐためにパトロールをしているところもあるが、侵入者たちは武器を持っているため、衝突する事態になれば、死傷者が出る可能性がある。

自治体や関係機関に何度訴えても、当局の対応は極めて心もとなく、事態は一向に改善しない。例えば、今年1月、ウル・エウ・ワウ・ワウが暮らす土地で約40人の侵入があった時も、当局が調査に入ったのは数日後で、拘束されたのはたった1人、その1人もすぐに釈放されてしまった。4月に数百人規模の侵入があった時も、1週間後に2人が拘束されただけだった。

夜間の銃声

いずれの保護区でも、侵入者は、自分たちの村や道路に近い森に繋がる道路を作った。侵入者がトラクターやチェーンソーを使う音が、頻繁に聞こえるという。ある女性(22才)は、この1月、これまで以上に村近くに入り込まれたため、襲われるのではないかと思ったという。銃声が聞こえた夜も何度かあり、怖くて眠れなかったそうだ。

アムネスティは、先住民族の土地に違法に入った者たちが使った道路や小道、土地区画や道につけたマーカーを撮った写真、動画、木材の運搬に使われたトラクターなどを調べた。

長老の1人は、「『俺たちが開拓した道には入るな。消えろ』と書かれたメモが残っていた。国が保護してくれないと、連中との間で大変なことが起きる」と訴えた。「当局が何の対策も打っていないため、乾季には侵入者がさらに増えるだろう」とも語った。

国や自治体の動きは鈍いままだ。先住民族の土地の監視は、複数の政府機関が協議・調整して実施されることがほとんどだ。先住民族を守る立場にある国立インディオ基金(FUNAI)には強制的な規制権限がなく、ブラジル環境再生可能資源研究所や連邦警察など他機関に頼る。専門家によると、監視体制は、昨今の財政難で縮小している。

先住民族の人びとは、「ほとんどの侵入者は捕まらない」と苛立ちを隠さない。土地収奪や森林伐採の資金の出所に関する調査も不可欠だ。

検察庁は、2019年1月から4月にかけて法務省と女性・家族・人権省に4回、書簡を送付した。その書簡の中で、先住民族が住む2地域の治安が特に悪化し、衝突が懸念されるとして、治安当局の即時支援、長期的な先住民族の保護や支援を求めた。しかし、これまでのところ、両省が治安当局と対応を協議した様子はなかった。FUNAIと国の関係機関が、侵入者たちによる違法行為の排除に向けた対策を取らないかぎり、流血を伴う衝突が発生する事態は、極めて高い。国は、早急の対応を取らなければならない。

激減する森林

土地の収奪や森林伐採は、雨季にはまれで、乾期に集中する。アマゾンの森林伐採の状況を20年以上監視しているNGOイマゾンの報告では、今年年初の3カ月間で、先住民族の土地の森林12平方キロメートルが失われた。昨年比で2倍だ。

先住民族の土地は、原生林に覆われ、彼らの土地の境界が、森林破壊に対する保護的役割を果たしている。森林の伐採は、森林に蓄えられていた炭素の排出とともに二酸化炭素の吸収源を減らすことになり、気候変動を助長する。その意味で、先住民族の土地保護は、環境問題にも重大な意味を持つ。

先住民族の人権保護は、アマゾンの森林破壊に歯止めをかける上でも重要だ。国際社会は、この事態を注視し、世界で最も貴重な熱帯林を保護する闘いの前線にいる先住民族を支援していくべきである。

アムネスティ国際ニュース
2019年5月7日

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