日本:死刑執行に対する抗議声明

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2019年8月 2日
[日本支部声明]
国・地域:日本
トピック:死刑廃止

アムネスティ・インターナショナル日本は、本日、東京拘置所の庄子幸一さん(64歳)と福岡拘置所の鈴木泰德さん(50歳)に死刑が執行されたことに対し、強く抗議する。

昨年の2018年に、日本では15人の死刑執行が行われた。これは、戦後2番目に多い年間死刑執行数となった。一方、世界的に見ると、同年は死刑執行数が前年に比べ30%も減少しており、死刑を廃止したEU諸国からは、日本が死刑制度をまだ維持していること自体が野蛮であり、衝撃的な事実であると受け止められている。昨年に引き続き、本日死刑執行が行われたことに対して、アムネスティ・インターナショナル日本は深い失望と懸念を表明する。

庄子幸一さんは再審請求中であった。国家が国民の命を奪う死刑制度においては、慎重な審理を尽くす必要があるが、日本政府は2017年から再審請求中の者を処刑している。本来再審請求中は刑の執行停止手続きを取るべきであり、それを定めていない日本での実務は国際基準に照らして違法である。再審請求中に処刑することは、公正な裁判を行わなくてはいけないという原則に反している。再審請求は死刑執行を回避する最後の手段であるため、その請求中の処刑は自由権規約6条の4に反する。2008年に行われた自由権規約委員会の審査でも、日本政府に対する勧告でこの問題点が指摘されている。

今年は、死刑廃止条約(「死刑廃止を目指す市民的及び政治的権利に関する国際規約第2選択議定書」)が国連総会で採択されてから30年という節目の年である。この30年間に多くの国で死刑制度が廃止され、あるいは死刑執行が停止されており、死刑存置国は世界の少数派となった。そのうちの一つ、いまだ死刑制度を固守し続けている日本では、従前より、死刑執行に際して死刑確定者とその家族に対して事前の予告をせず、また、死刑執行に関する情報もほとんど開示していない。G8諸国で死刑制度があるのは日本とアメリカだけであるが、アメリカでは、死刑は特別な刑罰であるとして他の刑罰よりも慎重に扱う制度がある。執行の予定は事前に死刑確定者本人にも公表し、その他、さまざまな情報もマスコミ等を通して公開しているため、市民も知ることができる。翻って日本では、死刑制度の実態は公表されず、刑は秘密裏に執行される。法務大臣は決まり文句のように死刑判決と死刑執行は慎重に行っていると言うが、司法制度の中で死刑制度は他の刑罰の延長線上に置かれているだけであり、他の刑罰と一線を画すような、より慎重な判断や決定が要求される扱いとはなっていない。

アムネスティ・インターナショナルは、「生きる」という最も基本的な人間の権利を根本から否定する刑罰が死刑だと考えている。この「生きる」権利は、何人たりとも奪ってはならないのである。それは国家機関であっても同じことである。今後2度と死刑執行が日本において行われないことを、アムネスティ・インターナショナル日本は強く願う。

2019年8月2日
アムネスティ・インターナショナル日本

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