- 2019年11月21日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:先住民族/少数民族
国際刑事裁判所(ICC)は、ミャンマー(ビルマ)国軍が少数民族ロヒンギャの人びとに行ったとされる犯罪について、人道に対する罪で捜査に着手する決定をした。
この決定は、ロヒンギャの人びとに対する正義と説明責任を実現する上で大きな前進である。また、残虐な掃討作戦を画策し、何の責任も問われてこなかった幹部が、ICCに出廷するのも時間の問題であろう。
ミャンマーをめぐっては、数日前、ガンビア政府が、ミャンマーを集団虐殺の罪で国際司法裁判所に提訴し、また、ロヒンギャの活動家たちが、アルゼンチンの裁判所で訴訟を起こした。ここにきて司法が動き始めている。
国軍を擁護し、責任を追及してこなかったミャンマー政府は、この機会に本来取るべき対応をあらためて熟慮すべきである。
捜査の開始は、国軍の犯罪疑惑の解明に向けた一歩だ。
ただ、ミャンマーでの少数民族に対する犯罪は多岐にわたるにもかかわらず、ICCが決定した捜査対象は、犯罪が疑われる行為の一部に限られている。本来、国連安保理は、ミャンマー全域を捜査対象としてICCに付託すべきだったのだ。いまだに対応を変えないのは、安保理の責任放棄とみられても致し方なく、その信頼性を損なうだけである。
背景情報
ミャンマーの治安部隊は、2017年8月、北部ラカイン州のロヒンギャの人びとの掃討作戦を開始した。作戦では、強かん、拷問、兵糧攻め、殺人、村の焼き討ち、地雷の敷設など、残虐の限りが尽くされた。国連事実調査団は、人道に対する罪、戦争犯罪、ジェノサイド(大量虐殺)などの罪で国軍幹部の捜査と処罰を求めた。だが、これまでのところいかなる責任も問われていない。
今も国軍は、カチン、ラカイン、シャンの各州の紛争地域で、市民に対し重大な人権侵害を犯し続けている。アムネスティの調査によれば、国軍は、一般市民の逮捕、拷問、殺害、強制失踪、超法規的処刑などを行っていることは、明らかだ。
アムネスティ国際ニュース
2019年11月14日
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