- 2019年12月19日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:先住民族/少数民族
ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問は12月11日、国際司法裁判所で証言し、ロヒンギャの人びとへの対応は、武装勢力の掃討作戦で起きた不幸な結果だとして、国軍によるジェノサイド(集団殺害)を否定した。意図的に事実を捻じ曲げ、政権の危うさを露呈した。
ミャンマーは、ロヒンギャに対する残虐行為がジェノサイド条約違反だとして、ガンビアに提訴されていた。
75万人以上が国を追われたのは、国軍による強かん、殺人、放火などの掃討作戦の結果にほかならない。国軍が、戦闘員と民間人の区別ができなかったかのような説明は、到底信じがたい。同様に、国は、ロヒンギャに対する犯罪に独立した捜査を実施し、訴追する用意があるというのも、絵空事である。
アウンサンスーチー氏に注目が集まっているが、今回の裁判の狙いは、ロヒンギャの人びとへの正義をどう果たすかである。このことを忘れてはならない。
ラカイン州に残るロヒンギャ60万人がさらなる迫害を受けるおそれがあり、早急な保護を必要としている。また、ミャンマーに帰還できない数十万人の難民も同様である。アウンサンスーチー氏の発言とは裏腹に、帰国は安全ではないのだ。
国際司法裁判所と国際社会は、ロヒンギャの人びとを保護するための対応を急ぎ、二度と残虐行為が起きないようにすべきである。ロヒンギャに対する人道支援への制限を撤廃し、国際機関の捜査に全面的に協力するよう、ミャンマーに命じることもその一つである。
背景情報
ミャンマーを提訴したガンビアは、ミャンマー政府には、ロヒンギャの権利を保護し、彼らに対するジェノサイド、あるいはジェノサイドを助長する行為が一切起きないようにする暫定措置を講じる必要があるとした。そして、裁判所に対し、ミャンマーにこの措置を命じるよう求めた。
アムネスティは2018年7月、国軍の兵士が行ったロヒンギャに対する犯罪は、国軍最高司令官、ミンアウンライン上級大将をはじめとする軍幹部ら13人が主導したものだったという調査結果を明らかにした。
アムネスティ国際ニュース
2019年12月11日
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