- 2020年3月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:
(C) Amnesty International
新型コロナウイルスの世界的大流行を受け、ジャンムー・カシミール州政府は、インターネットの利用制限を解除し、州民がウイルス感染に関わる情報をいつでも入手できるようにしなければならない。
世界は今、過去最大級の感染爆発に直面している。3月19日現在、新型コロナウイルスの感染者数は219,217人、死者8,965人、回復者は85,742人だ。
インド政府は、3月19日現在の国内の感染者数を166人と発表した。このうち4人は、ジャンムー・カシミール州内で確認された。
感染防止には、市民一人ひとりが、必要な情報を得て、適切な防止策を取ることが求められる。
にもかかわらず、州政府は3月17日、通信速度の減速などこれまで取ってきたインターネットの利用制限を今後も継続すると発表した。また、治安名目で複数の地域のインターネットを遮断した。ウイルス感染の拡大スピードを抑えるため、すべての学校や公園などの閉鎖、集会禁止の命令も出した。
感染を防ぐ予防措置や感染者の治療などの対応には、その前提に人権尊重が欠かせない。世界人権宣言でも保障されている健康に対する権利は、医療を受ける権利でもある。公衆衛生に関する情報の入手も、健康に対する権利の中核を構成する。
世界保健機関(WHO)も各国に対して、市民が自身や家族を守る上で適切な措置を取るために、感染に関わる情報の周知を勧告している。また、信頼できる情報から正しい事実を知ることが、感染不安を払拭し、リスク判断や理にかなった予防措置に役に立つと助言した。
ジャンムー・カシミール州の住民にも、感染のリスクを知り、リスクの軽減法や州政府が取る対策などを知る権利がある。必要な情報を得ることで、正しい判断を下すことができる。情報の非開示は、感染拡大や重症化を助長し、人権侵害につながるおそれがある。
新型コロナウイルス感染の状況は、日々変化している。州市民への十分な情報提供のために、インド政府は、直ちに同州のインターネット規制を解除し、市民が、いつでも状況に応じた感染対策を取れるようにしなければならない。
感染対応は、検閲や情報遮断などの人権侵害のもとでは成り立たない。
アムネスティ国際ニュース
2020年3月19日
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