ハンガリー:DV防止条約拒否 コロナ危機で被害増加の懸念の中

  1. ホーム
  2. ニュースリリース
  3. 国際事務局発表ニュース
  4. ハンガリー:DV防止条約拒否 コロナ危機で被害増加の懸念の中
2020年5月20日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ハンガリー
トピック:女性の権利

(C) Amnesty International
(C) Amnesty International

ハンガリー議会は5月5日、イスタンブール条約(女性に対する暴力およびドメスティック・バイオレンス防止条約)の批准を拒否する布告を採択した。

新型コロナウイルス対策のロックダウン(都市封鎖)が始まって以来、家庭内暴力が倍増したといわれている中、この決定は非常に危険だ。

政府は、コロナが流行する前でさえ、女性に対する暴力を防止・予防する取り組みを怠ってきた。「イスタンブール条約は、非正規移住を後押し、危険なジェンダー思想を肯定する」といった誤った主張を繰り返し、女性や少女が、家庭内暴力にさらされている悲惨な現実と政府自身の怠慢から市民の目を逸らそうとしてきた。

パンデミックと闘っている今だからこそ、ハンガリーは、布告の撤回とイスタンブール条約の批准を直ちに実行すべきだ。また、女性や少女を暴力から守るためのあらゆる措置も講じる必要がある。

背景情報

ハンガリーは、2014年にイスタンブール条約に署名した。しかし、同条約は、議会で承認されなかったため、国内で適用される法規範になってこなかった。

政府は以前から、批准しないことへの市民の懸念を「政治的泣き言」と評しており、条約批准を求める市民の要求を無視してきた。

一方、イスタンブール条約の批准拒否を決定した前夜には別の政令が出され、ロックダウン中であっても、警察が家庭内暴力の加害者に対し被害者に近づかないよう命じたり、被害者に宿泊施設を提供したりできるようになった。訴えても警察に相手にされない多くの被害女性にとっては、この措置はかすかな希望である。

アムネスティ国際ニュース
2020年5月5日

英語のニュースを読む