- 2020年7月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:パキスタン
- トピック:
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パキスタン当局は、過酷な差別を受けるヒンズー教徒の宗教の自由の権利を守らなければならない。その権利の一つである寺院の建設で、ヒンズー教徒は今、苦境に立たされている。
ヒンズー教寺院がほとんどない首都での建設を進めたところ、政治家、報道機関、聖職者らから激しい反発が起こり、建設予定地の周囲に築いた壁が、反対派の暴徒に取り壊される事件が発生した。
政府はこれまで、この反対派の圧力や暴力に手をこまねいてきた。
宗教の自由の権利は、建国の父、ムハンマド・アリー・ジンナーが演説の中で訴えたものだった。長年、差別を受けてきた少数派宗教の信仰の自由の否定は、アリーの理念を踏みにじるばかりか、憲法で保護されている宗教的少数派の権利を侵害し、国際法の人権義務にも違反する。
パキスタンは昨年、インドからの巡礼者にカータープルにあるシーク教寺院を開放して、国際社会の好意的な評価を受けた。
その政府が、寺院建設反対派の圧力や暴力を静観するだけであれば、国際社会の評価は帳消しになり、ヒンズー教徒に対する差別を激化させるだけだ。
近年、ヒンズー教徒に対する差別や圧力が深刻になっている。寺院や店舗が、神への冒涜という濡れ衣で襲撃されたり、数百人もの若い女性が結婚を強要されたりしている。そのほか、拉致や改宗の強要も行われている。
南部シンド州では、建物や礼拝所が襲撃される事件が昨年、2回あった。
当局は、このような差別や暴力行為を強く非難し、暴力を受けたという申し立てを捜査し、加害者を裁判にかけなければならない。
これまでイムラン・カーン首相は、何度も宗教的少数派の保護を約束してきた。この2月には、「非イスラム教徒やその礼拝施設への襲撃には、厳しく対応する」と警告した。
首相は、その警告を宗教に関係なく適用し、宗教的少数者が、暴力を恐れることなく信仰活動ができるよう確約しなければならない。
背景情報
イスラム教徒が大多数のパキスタンにあって、少数派のヒンズー教徒は、少数派の中では最も多いとはいえ、人口の2〜4パーセントに過ぎない。ヒンズー教徒には、国会議員、裁判長経験者、軍将校、著名な芸術家などがいる。
パキスタン建国の父で,初代パキスタン総督ムハンマド・アリー・ジンナーは、1947年の演説の中で、「あなた方は自由だ。崇拝する寺院、モスク、他の礼拝所に自由に行くことができる。いずれの宗教、カースト、教義でもいい」と呼びかけた。
アムネスティ国際ニュース
2020年7月7日
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