- 2020年12月23日
- [日本支部声明]
- 国・地域:日本
- トピック:死刑廃止
アムネスティ・インターナショナル日本は、12月22日、最高裁判所が、袴田事件の再審開始を認めなかった東京高等裁判所の決定を取り消し、審理を東京高裁に差し戻す決定をしたことを歓迎する。
静岡地方裁判所において、再審開始決定が下され、同時に袴田巖さんが東京拘置所から釈放されたのは6年前のことである。
そして、検察庁の抵抗により、東京高裁が静岡地裁の決定を取り消し、再審開始を認めない決定をしてから2年半が経過した。
この間、袴田巌さんと姉の袴田ひで子さんは、いつまた収監されて死刑執行されるかという不安を抱き、苦しい日々を過ごしてきた。袴田さんは無実を訴え続け、弁護団もあらゆる方法を尽くして闘ってきた。
最高裁は今回の決定について、審理が尽くされていないことを理由に挙げ、再審開始決定を覆した高裁の決定は「著しく正義に反する」と指摘した。
袴田さんの有罪判決は、証拠の捏造、自白の強要など、適正手続として到底受容できない不正義が積み重なって下されたと言われている。
裁判官の意見の中には、審理差し戻しではなく、検察の即時抗告を棄却して、再審を開始すべきであるというものもあった。
再審の道が開かれたとしても、無罪を勝ち取らなければ、収監され死刑を執行されるという恐れは消えない。いたずらに裁判を長引かせるべきではない。84歳の袴田さんに残された時間を、闘いのためではなく穏やかに過ごすための時間に変えるべきである。
最高検そして袴田事件に関わる全検察官は今一度、検察官の使命に立ち戻るべきである。
公益の代表者として真相解明に取り組むのならば、過去の先達が犯した過ちを認め、長期の拘留によりその人間性を奪った一人の人間に対し、これ以上の苦痛を与えることは今すぐやめるべきである。
アムネスティは、引き続き袴田さんの再審開始を求めていく。
以上
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