- 2021年3月11日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:
(C) Getty Images
3月3日のミャンマーの治安部隊の発砲による死者は、2月1日の軍事クーデター以来、最も多かった。ビルマ政治犯支援協会の推計では、この日、22人が殺害された。2月28日には17人が死亡しており、クーデター以来の死者数は少なくとも48人になった。地元メディアによると、主な致命傷は、頭部や背中への銃創だという。
これまでの治安当局の対応から、当局は、市民の抗議を実弾発砲で封じる作戦に出ていることは明らかだが、国軍が掌握する政権が沈黙を守っていることから、政権がこの作戦を承認しているとの見方が強い。
クーデターを指揮したのは、ミンアウンフライン国軍最高司令官だが、アムネスティは以前、人道に対する罪への同氏の関与を指摘したことがあった。今回、ミャンマー全土で繰り広げられている惨劇は、同氏の指揮下で典型的な残虐行為がまた始まったことを示している。国軍の指揮系統がしっかりしている中で、司令部が殺害をやめさせる措置を取らないのは、極めて大きな問題だ。
何年もの間、国軍は、少数民族に対する残虐行為で罪に問われることがなかったが、撮影されるのもお構いなしに市民を射殺しているのは、かつてはなかったことだ。明らかな超法規的処刑などが急増し、実弾の使用が制限される様子もない。むしろ、治安部隊は、日に日に殺傷武器の使用に大胆になっているようにさえみえる。
信頼できる情報によれば、最大都市ヤンゴンでは、機関銃が使われた形跡があった。また、ヤンゴンとマンダレーで市民が抗議する中、国軍の戦闘機が飛来したことも確認された。今後の国軍の動きが非常に懸念される。
抗議の声を上げる市民に対する言語道断の人権侵害に対して、迅速、公正で実質的な捜査を早急に行う必要がある。捜査対象には、卑劣な殺害に対し責任を負う指示系統も含まれる。
国軍の高官らは自分たちは罪を問われないと高を括っているが、国際社会は、その考えが間違いであることを知らしめなければならない。
背景情報
国連ミャンマー事実調査団は、国軍トップのミンアウンフライン総司令官や軍の高官らを、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド(大量虐殺)の罪で捜査・起訴することを求めたことがあった。
アムネスティの過去の調査は、国軍上層部が配置した特殊歩兵大隊が、軍による人権侵害の中でも特に凶悪な行為をしていたことを明らかにした。その部隊が、クーデター以来、抗議デモの現場にいるのが目撃されている。
アムネスティ国際ニュース
2021年3月4日
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