- 2021年3月25日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:
(C) HPC /Handout/Anadolu Agency via Getty Images
人権擁護活動家を脅迫したり襲撃したりする事件が増加している。大統領令にもとづき、人権活動家保護委員会が設置されてから3カ月以上になるが、「活動家保護」とは名ばかりで、保護機関としてその役割を果たす上で必要な具体的な措置はまったく取られてこなかった。また、市民社会が直面する脅威にどう対処するのか、その計画や戦略も明らかにされてこなかった。
当局は委員会が人権保護機関として実効性のあるものとなるよう、即座に行動すべきだ。
アフガニスタンの人権活動家が置かれた状況は、この数カ月で悪化の一途をたどっている。国連アフガニスタン支援ミッションによれば、アフガニスタン政府と反政府武装勢力タリバンの和平交渉が始まった昨年9月12日から今年1月末までの5カ月足らずの間に、人権活動家やメディア関係者など少なくとも11人が殺害された。
委員会の設置は、人権活動家の保護に向けた重要な一歩だった。だが、活動家への脅迫や襲撃、殺人が増えているにもかかわらず、委員会は、有効な対策を打たず、具体的な成果をあげていない。委員会は、至急、その使命を行動に移し、まず人権活動家の安全確保に取り組み、彼らが受けた脅迫や襲撃を調べ、加害者の責任を問うべきだ。また、人権擁護活動家が必要とする転居、救援、心理的サポートなども一刻も早く提供する必要がある。
国連アフガニスタン支援ミッションによると、昨年は、14人の人権活動家が殺された。その一人は、アフガニスタン自由公正選挙フォーラムのCEOモハマド・ユサフ・ラシードさんで、昨年12月23日、カブールを車で移動中に銃撃され、運転手も死亡した。
その翌日、カピサ州で女性権利活動家フレシュタ・コヒスタニさんと弟が、バイクに乗った男らの銃弾に倒れた。女性は事件の数日前、脅迫を受けていて当局に保護を願い出たとフェイスブックに投稿したばかりだった。
大統領令によると、人権活動保護合同委員会の任務は、人権保護を強化し、国内外の人権問題に必要な措置を取ることだ。これらの任務を果たすには、必要な人的、財政的支援などの面で、アフガニスタン政府と国際社会の両者からの十分な支援が欠かせない。
背景情報
アフガニスタンの人権擁護活動家は、嫌がらせから殺害までさまざまな脅威にさらされている。
アムネスティは、アフガニスタンの活動家が置かれている過酷な状況を詳細に調べ、2019年8月に調査報告書を公表した。昨年1月には、32の人権団体と連携してまとめた「アフガニスタン人権活動家保護戦略」を公表した。この提言は、安全を脅かされる活動家を保護する機関の設置に向けたロードマップの役割を果たすが、政府に提示したことで、実効性ある保護機関を導入するという約束を取り付けることができた。
アムネスティ国際ニュース
2021年3月16日
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