カナダ:入管収容で横行する虐待と差別

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2021年6月29日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:カナダ
トピック:難民と移民

C) 2021 Brian Stauffer for Human Rights Watch
C) 2021 Brian Stauffer for Human Rights Watch

カナダでは毎年、障がいを持つ人を含めた何千人もの人たちが、入国管理上の理由で施設に収容され、しばしば虐待的な状況下に置かれていることが、アムネスティ・インターナショナルとヒューマン・ライツ・ウォッチの合同調査でわかった。

庇護希望者を含む収容されている人たちは、手錠や足枷をされることが多く、外部との接触もほとんど、あるいはまったく認められない。収容期間の定めのないまま、数カ月から数年も収容され、刑務所に囚人と共に収容されるケースも多い。独房に入れられる人もいる。心理社会的障がいを持つ人は、差別的な扱いを受ける。

入管収容での虐待的な状況は、多様性と平等で知られるカナダのイメージとは、あまりにも対照的だ。アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチは、カナダ当局に対し、収容を段階的に廃止するとともに、入管制度・難民保護制度における非人道的な扱いに終止符を打つことを求める。

2019年にアフリカから来た女性は、辛い体験を次のように語った。「何でこんな扱いを受けるのか何の説明もなかった。入国するとき、祖国で起きていること、どのようにして逃げてきたが、全部説明した。けれど係員の女性は、聞く耳を持たなかった。祖国にいて死んだ方がましだと思った」

刑務所に収容

調査では、元収容者、その家族、精神衛生の専門家、学者、弁護士、市民団体の関係者、国の担当官など90人に聞き取りをした。また、関連する国連の報告書や非公開の公的資料などにも当たった。

2019年4月から2020年3月にかけてカナダへの入国時に拘束された人は、8,825人で年齢は15歳から83歳まで、この中には、州の刑務所に収容された1,932人も含まれる。同じ時期、これとは別に子ども136人(うち6歳未満が73人)が、親と共に収容された。2016年以降で、1年以上拘束された人は、300人を超える。

刑事罰に問われているわけでも有罪判決を受けたわけでもないにもかかわらず、多くの人が、特に警備が厳重な刑務所や独居拘禁など厳しい制約下に置かれ、体の一部を拘束され、窮屈な監房に閉じ込められ、事細かい日課を課され、常に監視にさらされているのだ。

カナダは、難民や新規来訪者を歓迎する一方で、庇護を求めてきた人たちを無期限に拘束する、先進国としては稀な国だ。一旦施設に収容されると、多くが、いつ自由の身になれるのか知らされない、あるいは解放される希望も持てない日々を送り、精神衛生上の影響は計り知れない。

障がい者差別 人種差別

調査で、心理社会的な障がいを持つ人たちは、入管施設ではなく州刑務所に収容される傾向にあることが明らかになった。オンタリオ州の刑務所に収容されると、しばしば独房に入れられる。法的な問題について自分で判断を下すことが認められず、法定代理人が代わりに決めることもある。また多くの場合、釈放の壁は厚く、釈放されても厳しい釈放条件を守らなければならず、違反すれば再び収容される。

他の収容者よりも収容や釈放の条件を厳しくするのは、あからさまな障がい者差別だ。政府は心理社会的な障がいを持つ人たちを懲罰的な状況に置くのではなく、地域社会での自主性と尊厳を尊重し、心理社会的、法的支援をすべきだ。

また収容されている人の多くが、自由になれないのではないかという思いから、自殺を考えるようになる。トラウマとなる出来事や迫害から逃れてきた人たちは、特に影響を受ける。釈放されてからも、収容中に生じた心の傷を、数カ月から数年、抱えて生きる人も多い。

有色人種、特に黒人は、収容期間が長期化し、しばしば、刑務所に収容されることが多いようだ。2019年では、90日間以上の被収容者の多くが、アフリカの国々から来た人たちだった。

入管・難民制度の見直しを

出入国管理などを行うカナダ国境サービス庁は、主要な法執行機関の中で独立した民間の監視を受けない唯一の機関だ。権限と法執行力が野放しになり、入国者の収容をめぐる重大な人権侵害が後を絶たない。

身の安全とより良い生活を求めてカナダに来た人たちが、人種差別、暴力、人権侵害を受けるようなことがあってはならない。アムネスティとヒューマン・ライツ・ウォッチは、カナダに対し、これ以上の人権侵害を防ぐために、拷問等禁止条約選択議定書の署名・批准するとともに、収容施設の国際的な査察を受け入れるよう求める。

恣意的拘禁に関する国連作業部会は、「移住者収容は警察署や拘置所、刑務所などで行ってはならない」「収容は懲罰的な性質なものであってはならない」との見解を示している。カナダ政府は、身体的・心理社会的な障がいがある人の収容を停止すべきだ。誰一人として、入国管理上の理由で刑事施設に収容され、懲罰的扱いを受けるようなことがあってはならない。

新型コロナウイルス感染症が拡大した昨年3月以降、カナダの入管当局は入管施設の被収容者をかつてない規模で釈放してきた。感染が収束しつつあるからといって、収容を再開するのではなく、この機会に入管制度や難民保護策を見直し、精神の健康と人権を尊重する移民・難民の制度に改革すべきだ。

アムネスティ国際ニュース
2021年6月17日

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