- 2021年7月27日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:性的指向と性自認
(C) Valya Egorshin/NurPhoto
欧州人権裁判所は7月13日、ロシアの国内法で同性カップルを法的に認めないのは、人権と基本的自由を保護するための条約(欧州人権条約)に違反するとの判断を示した。また、「ロシアには、同性カップルの人権を尊重し、法の下での平等を保障する義務がある」とした。
この画期的な裁定は、同性愛憎悪を助長しLGBTI(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー、インターセックス)の人びとの権利を否定するロシアが、歴史の流れに逆行していることを浮き彫りにしている。
今回の欧州人権裁判所の判決は、3組の同性カップルによる申し立てに対するもので、同性間の関係を正式に認める機会がまったくないのは、私生活および家庭生活の尊重を受ける権利を定めた欧州人権条約第8条の侵害にあたるとした。3組はモスクワとグリャージの登記所で婚姻届けが認められなかったのは、性的指向に基づく差別だと主張していた。ロシア国内の裁判所での闘いは、2009年にさかのぼる。
昨年改正された憲法で同性婚を明確に禁止したロシアでは、同性婚禁止が解かれることはまず期待できないが、今回、欧州人権裁判所は、同性婚とは異なる形で、同性カップルの関係を公認する方法を提供できるとの考え方を示している。
裁判所は、「各国政府には、それぞれの社会的・文化的状況を考慮した最適な同性パートナーシップ登録形式を選択する裁量の余地がある」が、「これまでロシアは裁量の限度を逸脱し、申請者の同性カップルとしての関係を保護する法的枠組みを国内法にまったく取り入れてこなかった」と指摘した。
アムネスティは、ロシアがLGBTIをめぐるいかなる差別にも終止符を打ち、「非伝統的な性的関係のプロパガンダ」を刑罰の対象とする同性愛嫌悪の法律を廃止し、LGBTIの人びとと、その家族生活の権利を含めた人権を十分尊重する措置を取ることを求める。
アムネスティ国際ニュース
2021年7月13日
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