アフガニスタン:タリバンに虐殺されたハザラ人

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2021年8月25日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:アフガニスタン
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© AFP via Getty Images
© AFP via Getty Images

アフガニスタンのガズニ州を7月に制圧したタリバンは、ハザラの人たちを惨殺していた。犠牲になった男性は9人にのぼる。アムネスティが現地で得た証言でわかった。

虐殺は、7月4日から6日にかけてアフガニスタン南東のガザニ州マリスタンで発生した。殺害を目撃した人たちの証言によると、虐殺された9人のうち6人は銃弾を受けて、3人が拷問の末に、殺害された。その中の1人は、身に付けていたスカーフで首を絞められ、腕の筋肉を削ぎ取られていた。

これらのおぞましい殺害は、タリバンによる蛮行の一部にすぎないとみられるが、実数の把握は難しい。というのも、タリバンは、制圧した多くの地域で携帯電話の通信を遮断し、写真や動画の送信を制限しているためだ。

今回の卑劣な殺害は、タリバンの過去の蛮行を思い出させ、同時に今後、タリバンによる支配が、どういう結果になるのかを示唆している。また、特に少数的・宗教的少数派の人たちが迫害を受けるおそれが大きいことがわかる。

アムネスティは国連安保理に対し、タリバンが国際人権法を遵守し、民族や宗教を問わず市民の安全の確保を求める緊急動議の採択を強く求める。

国連人権理事会は、アフガニスタン全土で続く犯罪や人権侵害の証拠を記録・集計・保存する強力な調査機能を立ち上げるべきだ。これは、国際社会が、十分な情報に基づいて意思決定を下し、また、重大な犯罪を助長し続けている不処罰と闘うためには非常に重要だ。

武力紛争中の拷問や殺害はジュネーブ諸条約違反であり、国際刑事裁判所のローマ規程の戦争犯罪を構成する。

拷問と殺害

アムネスティが得た証言によると、7月3日にガズニ州で政府軍とタリバンとの戦闘が激化し、村民は夏の放牧のための小屋がある山中に避難したという。

30家族が避難したが、食料の持ち合わせはほとんどなかった。翌4日の朝、男性5人と女性4人が村へ食料を取りに戻ったが、タリバンは、すでに家々から物品を略奪し、戻ってくる住民を待ち伏せしていたところだった。

殺害された男性9人のうちの1人(45歳)は、自宅から連れ出されたあと、両腕両脚を折られ、右脚を撃たれ、髪を引き抜かれ、顔を鈍器で殴られた。

もう1人(63歳)は、ポケットに入っていた現金を見つけられて、「おまえは政府の手先だろ」と罵声を浴びた上、奪われた頭のスカーフで絞殺された。遺体はあざがだらけで、両腕の筋肉が削り取られていた。

また、別の男性(40歳)は、棒や銃床で殴られて両腕を縛られて脚と胸をそれぞれ2回、撃たれ、近くの川に捨てられた。

埋葬を手伝った男性が、タリバンに「なぜこんなひどいことをするのか」と尋ねると、「紛争ではみんな死ぬ。銃を持っているかどうかは関係ない。それが戦争だ」と答えたという。

冷酷な殺害

別の男性3人は、山中の避難場所を出て自宅に戻る途中、タリバンの検問所で捕まり、その場で処刑された。目撃者によると、1人の胸は銃弾による穴だらけで、バラバラにされて埋められた。他の2人の遺体は川に捨てられた。

さらに別の男性3人も、虫けらのように殺害された。目撃者によると、「自分は高齢だから手を出さないだろう」と言っていた男性(75歳)が、牛に餌を与えるために戻ろうとした時、胸に2発、脇に1発の銃弾を受けて息絶えた。

うつ病で家に引きこもっていた男性(28歳)は、自宅から逃げ出したところをタリバンに捕まり、こめかみを撃たれた。

予測できない行動を取ることがあるとされ、避難せずに村に残っていた男性(45歳)は、頭を撃たれて即死した。

背景情報

アフガニスタンのガニー政権が崩壊し、タリバンがほぼ全土を掌握した。

アムネスティは、学者、ジャーナリスト、市民活動家、女性人権活動家など、何千人もの人たちがタリバンから報復を受ける危険性があるため、彼らの保護を訴えている。

アムネスティ国際ニュース
2021年8月19日

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