- 2021年8月30日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:
国連人権理事会は8月24日、アフガニスタンの人権状況をめぐり特別会合を開催したが、強力な調査権限を持つ機関の設置を求める市民団体などの要請には耳を傾けず、国連人権高等弁務官による現行の調査・報告を継続することで合意した。人権侵害の渦中にいるアフガニスタン市民が、失望するような結果になった。
アフガニスタンではこの数週間で旧政府が崩壊し、タリバンが政権を掌握した。この事態の中、学者、ジャーナリスト、市民活動家、女性人権活動家らが、タリバンの報復を受けるおそれがあるため、アムネスティは各国に彼らの保護を呼びかけてきた。
アフガン独立人権委員会、国連人権高等弁務官、国連特別手続き(人権理事会に任命され人権状況の調査・勧告などを行う独立した人権の専門家)、アムネスティなどの市民団体の発言者らは、特別会合の冒頭で、強力な調査権限を持つ第三者機関の設置を明確に求めた。こうした仕組みがあれば、アフガニスタンで行われている国際法上の重大な犯罪などの人権侵害や虐待を監視・報告し、容疑者らの刑事責任を問うことができる。
殺害をはじめとするタリバンの人権侵害は、数多いとみられる。7月には、ガズニ州でハザラ人男性9人が惨殺される事件が起きた。アムネスティの現地調査で浮かび上がったのは、以前と変わらないタリバンの残虐性だった。ただ、その実態の把握は、難しい。タリバンが、多くの地域で携帯電話の通信を遮断しているためだ。
タリバンによる人権侵害が多発する状況下で開催された今回の国連人権理事会では、第三者機関の設置を求める市民団体や国連関係者らの声は無視され、合意事項は、国連人権高等弁務官による来年3月の報告だけだった。結局、現行の監視体制とほぼ変わらない状況が続くことになった。
一方、活動家などの市民がタリバンの報復を受けるおそれは、高まっている。各国は、直ちに彼らの支援を開始し、退避を希望する市民には、その安全を確保する対応を取るべきだ。
国連人権理事会は、数週間後に控えている次の会合で同じ過ちを繰り返してはならない。犯罪や人権侵害が拡大する状況では、証拠を文書化し、収集し、保存する権限を持つ強力な調査機関が欠かせないことを認識すべきだ。
アムネスティ国際ニュース
2021年8月24日
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