ミャンマー(ビルマ):アウンサンスーチーさんに禁錮刑 とめどない自由への弾圧

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2021年12月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
トピック:

アウサンスーチーさんが12月6日、禁錮4年の刑を言い渡された。虚偽の容疑での厳しい判決は、全ての反対勢力を排除し、自由を封じようとする国軍の意思を示す最新の事例だ。

今年2月のクーデター以降、国軍は、容赦ない発砲で市民1,300人以上を殺害し、数千人を拘束してきた。今回の裁判の茶番劇も、恣意的に懲罰を加える国軍の姿勢の反映している。

アウンサンスーチーさんのような政治的活動とは無縁でも、人権を行使しただけで拘束され、何年も収監されるおそれがある人たちが数多くいる。そういう人たちの存在が忘れられ、彼らの運命が国軍に委ねられるようなことがあってはならない。

新型コロナウイルスの感染が拡大する中、ミャンマーでは国軍の暴力が激しくなり、数万人が自宅を追われ、人道の危機に直面するという、極めて憂慮すべき事態になっている。国際社会が、今すぐ足並みを揃えて断固とした対応を取らなければ、状況はさらに悪化するだろう。

国際社会は、ミャンマー市民を保護し、重大な人権侵害行為の責任を求める対応を取るとともに、人道と保健衛生上の支援受け入れへの同意を取り付けなければならない。ミャンマーでは、医療体制は崩壊し、経済活動が疲弊する中、食糧不足も目前に迫っている。

世界はASEANに対応を任せて傍観してはならない。違法な殺人、恣意的投獄、拷問などの重大な人権侵害、長年続く不処罰など、国軍の横暴に終止符を打つために、各国は今こそ行動を起こさなければならない。

ASEANは、緊急事態に関してミャンマーと合意して半年以上も経つにもかかわらず、その合意事項の多くを実現させていない。国軍が反対意見を押しつぶし、破壊をもたらし、表現の自由を徹底的に奪い続ける中、ASEANの弱腰ぶりは、目を覆うばかりだ。毅然とした態度をとったのは、国軍最高司令官をASEAN会議から締め出したときだけだ。

背景情報

ミャンマーの事実上の指導者アウンサンスーチー国家顧問は2月1日、国会議員、活動家、選挙管理委員会委員らとともに拘束された。

アウンサンスーチーさんが今回問われた罪は、国軍への抵抗の煽動と新型コロナウイルス対策違反だった。現在、電気通信法、輸出入法、汚職防止法、公務秘密法の違反など11件で起訴されている。裁判は、完全に非公開の中で進められている。

ASEANは4月24日、首脳会議を開き、クーデター後のミャンマー情勢について議論した。以降の会議では締め出されたミンアウンフライン国軍最高司令官もこの会議には出席した。会議で合意したのは、暴力の即時停止、全紛争当事者間の建設的な対話、対話促進に向けたASEAN特使の任命、人道支援の提供、ASEAN使節団の訪問の5項目だった。

だが、首脳会議から7カ月以上経った今も、これらの合意に基づく成果が出ていないことは明らかだ。ASEANの特使が首都ネピドーを訪れた時も、拘束中のアウンサンスーチーさんとの面会は認められなかった。

国軍は、抗議する市民やその抗議を見守る人たちを殺害し続けている。また、活動家、人権活動家、メディア関係者、医療従事者、芸術家、政敵、国軍批判者などを、表現、結社、集会の自由の権利を行使したことで、拘束、勾留、起訴、投獄してきた。

ビルマ政治囚支援協会によると12月3日現在、国軍の銃撃による死者は1,300人を超え、拘束された市民は1万人以上いる。

※アウンサンスーチーさんに対する刑は、その後、禁錮2年に減刑されました。

アムネスティ国際ニュース
2021年12月6日

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