ミャンマー(ビルマ):困窮と死に直面する市民 世界は行動を

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2022年2月 3日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ミャンマー(ビルマ)
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© AFP via Getty Images
© AFP via Getty Images

ミャンマーの国軍が、抗議する市民への重大な人権侵害を続けている。国際社会が、ミャンマーの事態に消極的姿勢を取り続けるなら、国軍の暴力による犠牲者はさらに増え続け、同国の人権状況は一層悪化することになる。

2月1日、国軍がクーデターで政権を奪ってから1年が経った。

国軍は、南東部地域での無差別空爆による市民の殺害、人道支援の妨害、活動家や記者の拘束・殺害などの行為を繰り返してきた。これらの残虐行為に対し、あまりにも多くの国が見て見ぬふりをしてきた。ロヒンギャの人びとが国軍による人権侵害で土地を追われたときもそうだった。

ミャンマー市民5,500万人には、傍観する多くの国の行動をもう一年、待ち続ける余力は残っていない。

抗議する市民の一掃を狙う国軍は、罪に問われることもない暴力を平然と振るい続けている。市民に暴力と投獄で恐怖心をあおる国軍の作戦に、歯止めをかける必要がある。そのためには、国際社会の的確な対応が求められる。

国連安保理は、消極的な姿勢を改め、世界各国による武器禁輸と国軍幹部への制裁を実施し、さらに、ミャンマーの事案を国際刑事裁判所に速やかに付託しなければならない。

また、武器を調達する国軍の資金源を断つため、国軍系企業と提携する国内外の企業は、提携関係を解消する必要がある。

東南アジア諸国連合(ASEAN)は対ミャンマーで結束し、国軍に市民への暴力を即刻停止するよう要求しなければならない。また、人道支援活動を認めるよう国軍に圧力をかけ、昨年、採択した5項目の合意事項について、期限を設定した上で各項目の実施に踏み切るべきだ。

今年こそ、ミャンマーの人たちの人権のための行動と責任追及を中心に置き、人権侵害は決して許容しないという姿勢で事態に臨まなければならない。

背景情報

昨年2月1日、国軍がクーデターを起こし、全権を掌握した。それ以降、国軍は1,400人を超える市民を殺害し、11,000人以上を拘束した。今も8,000人以上の拘束が続いている。政治囚支援協会によると、国軍には、カチン、シャン、ロヒンギャなどの少数民族に、国際法違反の迫害をしてきた歴史がある。

国連ミャンマー事実調査団は以前、戦争犯罪、人道に対する罪、大量虐殺が疑われるミンアウンライン上級大将と複数の高官の捜査と起訴を求めた。

文民指導者だったアウンサンスーチーさんは、虚偽の罪で実刑6年を言い渡された。他の容疑でも起訴されており、すべての容疑で有罪になれば、合わせた刑期が100年を超えるおそれがある。ウィンミン大統領ら側近の多くも、でっち上げの罪で有罪判決を受けた。

デモに参加する市民が激しく弾圧される中、国軍に抵抗する人たちが結成した武装組織「国民防衛隊(PDF)」は、数百人の国軍兵士を殺したと主張している。

クーデター後、国内の混乱は全土に及び、経済の低迷や食糧不足、新型コロナ禍の中、数百万人が飢餓に瀕している。数十万の市民が国内避難民になり、数千人が国境を越えてタイへ逃

れている。

アムネスティ国際ニュース
2022年1月27日

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