シリア:クルド警察組織がキャンプで発砲 子ども1人死亡

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2022年2月10日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:シリア
トピック:子どもの権利

© Photo by DELIL SOULEIMAN/AFP via Getty Images
© Photo by DELIL SOULEIMAN/AFP via Getty Images

アムネスティ・インターナショナルは、昨日、シリア北東部のアルホル・キャンプで、クルド人の自治政体の警察部隊アサイシュが発砲し、少なくとも子ども1人が死亡、女性3人が負傷したことを確認した。

広大なアルホル・キャンプは、アサイシュによって外部からの立ち入りが禁止されている。キャンプの状況を知る人物によれば、キャンプ内のアネックスと呼ばれるエリア(シリア人とイラク出身者以外の女性と子どもを収容)で、アサイシュは明確な理由もなく収容者に向けて発砲した。

国際社会は、何万もの子どもたちが置かれてきた悲惨な状況に目をつぶり続けてきた。今回の子どもの死は、この国際社会の無策が招いたものだ。

アルホル・キャンプにいる人びとの出身国は、キャンプでの惨状を終わらせ子どもたちの帰還に向けた適切な行動をとらなければならない。各国政府は、国際的な人権義務と向き合い、子どもの命、生存、成長の権利を守るためにあらゆる手段を講じるべきだ。

アムネスティは、クルド人の自治政体に対し、発砲事件に対する効果的な捜査をすみやかに開始し、恣意的に拘束されたすべての子どもを解放し、子どもたちを母親や保護者の元に戻すよう求めている。

国際社会は、アルホル・キャンプの子どもたちの命と権利を守るために自治政府を支援し、子どもたちや母親らが安全に帰還することができるようにしなければならない。

背景情報

国連人権高等弁務官事務所によれば、シリアで「イスラム国」を自称する武装組織が敗退した2019年以降、約6万人のシリア人、イラク人、その他の国籍の人びとが、適正な手続きを経ないままアルホルのキャンプに収容されている。収容されたのは、程度の差こそあれイスラム国と関わりのあった人たちだが、紛争から逃れるためにキャンプに来た、イスラム国とは無関係の人たちも数千人いる。

この2年間、子どもたちは、食糧や飲料水に事欠き、教育や医療も満足に受けられなかった。キャンプを管理するクルド人自治政体は、少年を拘束し、乳児を親から引き離し、医療機関での受診を制限するなどしてきた。児童労働や暴力・殺人などがはびこり、子どもたちの成長に深刻な影響を及ぼしている。

また、アルホル・キャンプ近くにある拘禁施設にも、数百人の子どもが収容され、過酷な環境に置かれ続けている。1月下旬には、シリア民主軍とイスラム国との間で交戦があり、収容されていた数百人の子どもが10日間、食糧支援や医療支援を受けられなかった。

アムネスティ国際ニュース
2022年2月8日

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