シリア:長年の人権侵害を闇に葬る拷問禁止法

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2022年4月 8日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:シリア
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シリアのバッシャール・アル=アサド大統領は、拷問禁止法を制定したが、この法律には、重大な欠陥がある。長年、治安部隊が行ってきた拷問、虐待、超法規的処刑などの問題に対応していない上、今後起こり得る拷問への防止策にも触れていないからだ。

拷問を禁止する国際的な規範に準ずるいかなる立法措置も歓迎するものの、この新法が施行されると、長年にわたり拘禁施設内で行われてきた国公認の人権侵害が事実上、隠蔽されてしまう。

拷問禁止法はまた、過去の拷問犠牲者への補償や拷問の目撃者や生存者への保護措置に触れていない。さらに、拷問の被害者や犠牲者遺族が、賠償を受け取れるかどうかにも言及していない。極めて大きな問題は、今後、拘置所や刑務所での拷問を防ぐための対策について、まったく触れていない点だ。

シリアには、死につながる拷問を大規模に行なってきた拘禁施設が複数ある。シリア当局は、これらの悪名高い施設への立ち入りを、独立した監視団に早急に認めるべきだ。監視団受け入れは、国家機関による常習的な拷問を抑制する意思が本当にあるのかどうかを示す第一歩となる。

さらに、この拷問禁止法は、国際人権法に準拠しなければならない。従って、まずは拷問、虐待、その他非人道的行為の加害者を公正な裁判にかけることから始めなければならない。

背景情報

拷問禁止法は3月28日、シリア議会で初めて審議され、3月30日に大統領令により成立した。

アムネスティは以前、シリアの刑務施設ではびこる非人道的状況を調査した。明らかになったことの中には、市民の拘束と秘密裏の施設収容や施設内での虐待や拷問などが組織的に行われ、多数の死者を出したこと、また、見せかけの裁判で死刑が宣告され処刑されていたことなどもある。いずれも人道に対する罪に相当する。

アムネスティ国際ニュース
2022年3月31日

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