コロンビア:妊娠中絶の非犯罪化は人権の勝利

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2022年3月 9日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:コロンビア
トピック:性と生殖の権利

コロンビアの憲法裁判所は2月21日、妊娠24週目までの人工妊娠中絶の非犯罪化を支持する判決を下した。人権にとって画期的な勝利だ。自分たちの権利が認められるようにと何十年にもわたり闘ってきたコロンビアの女性運動の歴史的快挙でもある。

女性、少女、そして子どもを産むことができる人たちの身体についての決定権を持つのは、その人たちだけだ。

この憲法裁判所の判断により、コロンビア当局は、人工妊娠中絶の権利を求める人たちを処罰するのではなく、身体と人生設計に対する自己決定権を尊重する責務を負うことになる。

昨年、アルゼンチンでは妊娠中絶が合法化され、最近メキシコでは、妊娠中絶の非犯罪化が実現した。これらの動きに続くコロンビア憲法裁判所の判断は、ラテンアメリカにおける「緑の潮流運動」(緑は中絶を求める人たちのシンボルカラー)の破竹の勢いを象徴するもう一つの事例となった。

私たちは、女性、少女、そして子どもを産むことのできる人たちの性と生殖の権利が、ラテンアメリカにおいて例外なく認められるまで、この闘いをやめることはない。

憲法裁判所は、賛成5票、反対4票で、妊娠24週目までの中絶を非犯罪化する判決を下した。妊娠24週目以降は、これまで通り、妊娠している人の生命や健康に危険が及ぶ場合、命にかかわる胎児奇形の場合、強かん、近親相かん、合意のない人工授精による場合だけに中絶が認められる。

妊娠24週目までの妊娠中絶の非犯罪化は、コロンビアとラテンアメリカ・カリブ海諸国の中絶権にとって重要な前進だが、そもそも、誰も中絶で犯罪者となるようなことがあってはならない。いかなる状況でも安全で合法的な中絶を受けられるよう要求していくことが、極めて重要だ。

コロンビアでは、中絶は、法令で憲法裁判所が定めた基本的権利であるにもかかわらず、現実には、多くの人が安全で合法的な中絶手術を受ける機会が不平等に制限されている。現在、年間400,400件の中絶が行われているが、そのうち合法的中絶は10パーセント以下と推定され、安全な中絶を受けられる医療機関は、都市部に集中している。

合法的な中絶は、秘密裏に行われる中絶よりもはるかに安全であるだけでなく、手術費用も、世界保健機関が推奨する技術を使う医療機関なら、はるかに安い。

中絶の犯罪化は女性間の格差を広げるものだ。コロンビアで秘密裏に中絶したという人の大多数は農村部の人たちであり、そのほぼ3分の1は、家庭内暴力、性的暴力、あるいは傷害事件の被害者だ。

こうした背景から、中絶の問題を考える場合、人権を守るという大きな視点ではなく、弱い立場の女性への虐待という見方が広く定着するようになった。

さらに、中絶が犯罪であることで医療従事者に不安と罪の意識が生まれ、社会的、法的な制裁をおそれて手術を引き受けない事例も発生している。

アムネスティ国際ニュース
2022年2月21日

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