- 2022年4月 8日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:アフガニスタン
- トピック:女性の権利
3月23日、アフガニスタンの中等学校の女子生徒たちが、7カ月ぶりに教室に戻って来ていた。待ちに待った授業の再開だ。だが、授業が始まるのを待っていた9時ごろ、タリバンが、「アフガニスタンの慣例、文化、シャリア(イスラム法)に合った制服ができるまで、女子学校を閉鎖する」と宣言し、女子生徒に帰宅するよう命じた。
女子生徒たちは、学校教育を再び禁じられたことで、「悲嘆に暮れ」「心に傷を負った」などとアムネスティに語った。
タリバンがシャリアと国の文化を引き合いに出すのは、女性や少女から権利を奪う昔からの手口で、少女たちを学校から締め出すための言語道断の口実だ。タリバンの主張は、明らかに教育を受ける権利の侵害であり、何百万人もの少女たちの将来に暗い影を落とすことになる。
アムネスティは国際社会に対し、事実上の政権であるタリバンと交渉する際、女性や少女の教育を受ける権利を絶対条件とするよう求める。タリバンは、年齢を問わず少女の通学を認め、差別的な政策の推進に下手な口実を持ち出すのをやめるべきだ。
「私たちはみんな、打ちひしがれた」
昨年8月に実権を握って以来、タリバンは女子が教育を受ける権利を尊重すると公約してきた。3月20日、タリバンの「教育省」は、冬休みが終わる3月23日に全学校を再開すると通達したが、休みが明けても女子中等学校は、閉鎖されたままだった。
北西部へラト州では、中等学校は休み後の2日間だけ開校され、3日目から「女子校は閉鎖する」と告げられた。
バダクシャン州に住む12年生のナディアさん(17歳)は3月24日、アムネスティにこう話した。「とてもワクワクし、希望を胸一杯に学校に行き、同級生や先生に会った。みんな授業が再開されて、大喜びだった。でも数分後、校長が来て『みんな、帰宅しないといけなくなった』と言われた。女子学校に閉鎖命令が出たのだと。みんな、もう大変なショックだった。泣き始める子もいれば、黙って立ち尽くす子もいたが、仕方なく出口へ行った。いつ戻れるかわからないまま学校を離れるのは、胸が押しつぶされる思いだった」
3月23日以来、カーブル、ナンガルハール州、バダクシャン州の住民、学生、女性の権利活動家らは、タリバンに女子中等学校の再開を求めるデモを何度か実施してきた。
カーブルの学校でも、戻ってきた女子生徒たちは、すぐに帰宅するよう命じられたという。
その一人、11年生のナキサさん(16歳)は、アムネスティにこう語った。「恐怖と不安の中、学校に行った。授業が始まると思っていた9時ごろ、タリバンがやってきて校長先生に女生徒全員の帰宅と学校閉鎖を命じた。校長先生は泣いていた」
ナキサさんら生徒たちは勇敢にも帰宅命令に抵抗し、タリバンから暴力をふるわれた。抵抗の意思としてペンを持った手をタリバンに突き出し、「教育を受けるのは、私たちの権利だ」と訴えた。また、「勉強したい」とシュプレヒコールを続けたという。
女性の権利活動家ナウィダ・コラサニさんは、国際社会に対しタリバンが女性の権利で約束したことを責任もって実行するよう要求してほしいとして、こう求めた。「昨今のタリバンの対応は、女性の権利を守るという約束を反故していることは明らかで、国際社会はタリバンの責任を追及してほしい」
タリバンは90年代、女子の通学を禁止し、女性が公共の場に出ることを許さなかったなかった。今、当時の抑圧的政策がひたひたと押し寄せているようにみえる。
教育を受ける権利は、基本的人権であり、タリバンにはこれを保障する義務がある。しかし、現行の政策は差別的で不公正で、国際法に違反している。
教育の権利とより良い未来を求めて抗議を続ける少女や女性たちの勇気には、身が引き締まる思いだ。国際社会は、未来への希望のために闘う女子学生を決して見捨ててはならない。
アムネスティ国際ニュース
2022年3月28日
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