- 2022年7月26日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ミャンマー(ビルマ)
- トピック:死刑廃止
ミャンマー国軍当局は、30数年ぶりに死刑執行を再開し、4人を処刑した。死刑執行は人命の恣意的はく奪であり、ミャンマーで悪化する人権状況をあらためて示すことになった。
男性4人は、軍事法廷での極めて不公正な密室裁判で死刑判決を受けていた。同様に不公正な裁判で死刑を宣告された人たちが100人以上いるとされており、国際社会は直ちに行動を起こす必要がある。
1年以上にわたり、国軍は超法規的な殺害や拷問など、ありとあらゆる人権侵害に手を染めてきた。その責任を問われないかぎり、国軍は市民の命を踏み躙り続けるだろう。
30年数年ぶりの死刑執行再開は、ますます多くの国が死刑廃止に舵を取る世界的潮流に逆行する。さらに、国際人権法、国際人権基準に謳われている死刑廃止の目標にも反する。ミャンマーの孤立化はこれ以上ないほど明白だ。
アムネスティはミャンマー当局に対し、重要な一歩として死刑執行の停止措置を取ることを強く求める。
背景情報
ミャンマー国営メディアによると、男性4人に死刑が執行された。
4人のうちの2人は、アウンサンスーチーさん率いる国民民主連盟(NLD)の元議員ピョーゼヤートーさん、著名な民主化活動家のチョーミンユさんだ。2人は軍事法廷で今年1月、爆発物の製造とその使用に関わり、テロリストに資金提供をしたなどとして反テロ法違反罪で有罪となり死刑を言い渡された。
アムネスティは、2人の起訴には政治的意図があったとみている。
残る2人は、フラミョーアウンさんとアウントゥラゾーさんで、ヤンゴンのラインタヤ郡区で国軍の密告者とされた女性を殺害したとして有罪判決を言い渡され、死刑が確定していた。
4人の名前は、国営新聞「グローバル・ニューライト・オブ・ミャンマー」紙で取り上げられていた。
国軍支配下の裁判所の審理は、非公開で不公正極まりなかった。国軍が戒厳令を発令して以降、罪を問われた市民は、特別法廷か軍事法廷に移され、控訴する権利もない簡易裁判で裁かれている。こうした法廷では、死刑を科しうる犯罪含め幅広い犯罪を扱う。
国際法、国際基準では、不公正な裁判の結果執行された死刑は、恣意的な生命はく奪の禁止と、拷問およびその他の残虐で非人道的または品位を傷つける刑罰の絶対的禁止に違反する。
ミャンマーで最後にあった死刑執行は、1980年代後半とされる。国軍がクーデターを起こした昨年2月以降、アムネスティは死刑判決が急増していることを確認している。同時に国軍当局を批判する市民への迫害、脅迫、嫌がらせも常態化している。
アムネスティは、いかなる事態や状況下においても無条件で死刑に反対する。世界の3分の2以上の国が、法律上または事実上この刑罰を廃止している。
アムネスティ国際ニュース
2022年7月25日
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