- 2022年8月10日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウクライナ
- トピック:
アムネスティ・インターナショナルは、ウクライナ軍の戦闘戦術に関するプレスリリースが苦痛や怒りを引き起こしたことについて、深い遺憾の意を表明します。
2022年2月のロシア軍の軍事侵攻以来、アムネスティは、ウクライナで行われた戦争犯罪や人権侵害について徹底的に調査し報告してきました。数百人の被害者から聞いた話は、ロシアの侵略戦争が引き起こしている残忍な現実を浮き彫りにするものでした。
私たちは、具体的な行動を通じてウクライナの人びととの連帯を示すよう世界に呼びかけており、今後もそうする所存です。
アムネスティにとって、今回の紛争もそしていかなる紛争も、民間人の保護が優先事項であり、今回の調査結果の公表の唯一の目的も、この点にあります。
調査で確認した事実が揺らぐことはありませんが、苦痛を引き起こしたことに遺憾の意を表すとともに、この機会にいくつかの重要な点を明確にさせていただきます。
プレスリリースでは、アムネスティが訪れた19の町や村のすべてで、民間人が暮らす場所のすぐそばにウクライナ軍が位置し、その結果、民間人がロシア軍の攻撃を受ける危険にさらされていることを指摘しました。この評価は、国際人道法の規定に基づきます。国際人道法は、すべての紛争当事者に対し人口密集地やその近隣に軍事目標を置くことを極力避けるよう求めています。戦争に関する国際法の目的の一つは、民間人の保護です。だからアムネスティは各国政府にその遵守を求めているのです。
これは、ロシア軍の違法行為の責任がウクライナ軍にあるということではありません。ウクライナ軍が国内の他地域で十分な予防策を取っていないということでもありません。
アムネスティの立場は明確です。アムネスティが把握したウクライナ軍のいかなる行為もロシア軍の違法行為を正当化するものではありません。ロシア軍によるウクライナ市民に対する人権侵害行為の責任は、すべてロシア側にあります。過去6カ月間のアムネスティの活動、ロシアの違法行為や戦争犯罪に関する多数の発表文書は、違法行為の規模やその市民への影響の重大さを物語っています。
アムネスティは7月29日、ウクライナ政府に、今回の調査結果を詳細に記した書簡を送付しました。書簡には、ウクライナ軍が民間人の居住地域に軍事拠点を置く学校や病院などの場所についての、GPSの座標やその他の機密情報も含まれています。この情報をプレスリリースの中で公表しなかったのは、ウクライナ軍と聞き取りをした市民の双方の安全を脅かすからです。
アムネスティは、ウクライナ軍が取るべき作戦について詳細な指示を出するつもりはありません。しかし関係当局には国際人道法を全面的に遵守するよう求めます。
アムネスティは、紛争時の民間人の生命と人権の保護が保障されることを、常に優先します。
アムネスティ国際ニュース
2022年8月7日
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