- 2022年10月31日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ウガンダ
- トピック:表現の自由
インターネット上の表現の自由を著しく制限する法案が10月13日、ヨウェリ・ムセベニ大統領の署名により成立した。政敵を含む政権批判者の異論の抑え込みに利用されるおそれがあり、即刻撤廃されるべきだ。
成立したのは修正コンピューター不正使用法で、迷惑、虚偽、悪意、憎悪、無根拠の情報の発信禁止を名目とするが、インターネット上の情報の受発信を含む表現の自由の権利に大きな脅威になる。
同法には、政府批判者や政治的に敵対する団体などを標的にする意図があり、反対意見の封殺や自由な発言の阻止に利用されるだろう。インターネット上の表現の自由に対する国家の統制強化だ。
子どもを保護する上でもプライバシーの権利の保護は有益であるものの、「ヘイトスピーチ」を起訴し処罰する規定も設けられている。
有罪になれば、最高1,500万ウガンダシリング(約59万円)の罰金と最高7年の実刑を言い渡される。団体の幹部や公務員は、解雇されるか、辞職を余儀なくされ、10年間公職に就けなくなる。
この法案の「ヘイトスピーチ」の定義は広範囲にわたる。
「(a) 他人、集団、部族、民族、宗教、ジェンダーを嘲笑し、見下し、卑しめるような情報、(b) 集団、部族、民族、宗教、ジェンダーの分断を招くような情報、(c) 人、集団、部族、民族、宗教、ジェンダーに対する憎悪を広げるような情報、をコンピュータを通じて書き、送り、共有をしてはならない」とある。
また、「迷惑情報」の共有についての規定もあいまいだ。その一例を挙げる。
「他の人に求められてもいない情報をコンピューターで送ったり共有したりしてはならない」「コンピューターで他人についての、または他人に関連する誤解を招く、または悪意のある情報の送信や共有をしてはならない」
当局はこの法律を廃止し、オフライン、オンラインを問わず、表現の自由を含めチェック・アンド・バランスを保障すべきだ。
ウガンダ市民は、刑法の処罰の対象になることなく表現の自由の権利を行使できなければならない。
背景情報
9月9日ウガンダ議会は、コンピューター不正使用法(2011年)の6つの条項を修正する法案を可決した。
3月10日、当局はデジタルテレビ局を家宅捜索し、局員9人を恣意的に逮捕した。うち7人は1週間後に釈放されたが、2人はコンピューター不正使用法(2011年)違反となる容疑で起訴された。1人の容疑は「攻撃的なメッセージの送信」、もう1人は「大統領へのサイバーストーカー行為」だった。また2人とも、「大統領の安寧を妨害する意図でのオンラインプラットフォームの利用」の罪にも問われている。
また、アムネスティの調べでは、この3年間で野党と関係のある活動家少なくとも2人の活動家が、サイバー犯罪に関与した容疑で起訴され、現在、国外に逃れている。
アムネスティ国際ニュース
2022年10月14日
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