ロシア連邦:ロシアがウクライナ人捕虜に不当な実刑

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2023年3月22日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:ロシア連邦
トピック:

ロシア捜査委員会は、ロシアが実効支配するルハンスク州とドネツク州の「最高裁」が、戦争犯罪に問われていた3人のウクライナ人捕虜に長期間の実刑を言い渡したと発表した。

有罪判決を受けたのは、マキシム・ブトケビッチさん、ヴィクトル・ポホゼイさん、ヴラディスラフ・シェルさんの3人で、まやかしの審理にもとづく「有罪判決」は、無効とみなされるべきだ。

ロシア支配地域で捕虜を戦争犯罪に問い、本来の司法機関ではない「裁判所」の審理に委ねることで、ロシアは、捕虜の公正な裁判を受ける権利を否定し、国際人道法を侵害したと言える。

公正かつ正規の裁判を受ける権利を故意に奪うのは、戦争犯罪である。

この見せしめ的裁判は、ウクライナ人捕虜に対する卑劣な報復行為であることは明らかであり、ロシアは、ウクライナ人捕虜の権利を全面的に尊重し、まやかしの裁判や人権侵害を直ちに停止すべきだ。

背景情報

3月10日、重大犯罪の捜査を担当するロシア捜査委員会は、ウクライナ人3人が、ロシア刑法の戦争関連罪の容疑で有罪判決を受けたことを公表した。

ポホゼイさん、ブトケビッチさん、シェルさんは、それぞれ8年半、13年、18年半の実刑を言い渡された。ロシア捜査委員会は、「ウクライナ軍兵士の3人は、故意に一般市民を狙い、数人に負傷を負わせ、その行為はジュネーブ条約に違反する」と決めつけた。

著名なジャーナリストで人権活動家のブトケビッチさんがウクライナ軍に志願入隊したのは、ロシアがウクライナに侵攻した翌月の3月だった。4カ月後の7月、ブトケビッチさんは、同じ部隊の他の兵士とともに捕らわれの身になったことをカメラに向かって話し、その様子を撮った動画が親ロシア派のソーシャルメディアに流された。

同じ7月、ロシア捜査委員委員長はウクライナ人に対するロシア当局の捜査と起訴の状況を公表した。その中で、「人類の平和と安全に対する罪」に問われた少なくとも220人を含むウクライナ人数百人に対して、1,300件を超える捜査を実施し、ウクライナ兵92人を起訴したことを明らかにした。

一連のロシアの対応は、ウクライナ人捕虜の公正な裁判を受ける権利を踏み躙るものだった。

前月の6月には、ロシアが実行支配するドネツク州での分離主義者による「法廷」で、英国人2人とモロッコ人1人の捕虜が死刑判決を言い渡された。ただこの3人は、その後ウクライナとロシア間の捕虜交換の対象となり、釈放された。

アムネスティ国際ニュース
2023年3月10日

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