- 2023年7月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ロシア連邦
- トピック:
ウクライナへの全面的な侵略戦争が500日を過ぎる中、ロシア当局は、国内の反戦活動家に対してますます残忍な手法を用いて弾圧している。ロシアは国内の反戦運動を抑圧するために、さまざまな抑圧的な法律と手法を用い、既に2万人以上に厳しい報復的措置を取ってきた。
ロシアにおける弾圧は激化しており、当局の手の込んだ手法で反戦の声は封じられている。
戦争に抗議したり、ロシア軍の動きについての情報を共有したりすると、厳しい刑事・行政処分や他の制裁を受けることになる。自由な意見が処罰の対象になるという馬鹿げた法律が可決され、直ちに施行された。不公正な裁判が際立ち、欠陥だらけの刑事司法制度下では、ごく些細な反対意見にも拘禁刑や巨額の罰金が科されるため、人びとは沈黙せざるを得なくなっている。
反戦運動をする人びとに対して公平な裁判の保障を欠く行政手続きが取られている。裁判官はしばしば弁護側の有力な証拠を退け、警察の報告、時に虚偽の報告に基づいて重い罰金や行政拘禁を科すことも少なくない。
街頭で反戦デモに参加したり、インターネットで戦争を批判したりして、集会の規則違反や「名誉毀損」などという馬鹿げた罪で有罪判決が言い渡されている。昨年、これらの「犯罪」を犯したとして2万1,000人以上が処罰された。そのうち2,307人が行政拘禁に処され、その他は多額の罰金刑を受けた。
ウクライナへの全面侵攻を開始したとき、「軍隊の使用に関する虚偽情報の故意の流布」と「軍隊または国家機関に対する度重なる信用棄損」という罪が設けられた。それ以来、150人以上がいずれかの罪状で刑事訴追を受け、その多くはすでに有罪を言い渡された。これらの罪にはそれぞれ最大15年と7年の拘禁刑が科される。
ロシア北部ヴォログダのアマチュア無線家、ウラジーミル・ルミャンツェフさんは、当局に禁止されている独立系メディアと複数のブロガーによる戦争報道を自宅から放送した。その結果、3年の実刑を宣告された。ルミャンツェフさんは、表現の自由を行使しただけであり、当局は即時、無条件に釈放すべきだ。
さらにロシア当局は、不当解雇、戦争に反対するミュージシャンが参加するコンサートなどのイベントを中止に追い込み、動画での「謝罪」を強要するなどした。このように反戦を訴える人びとに嫌がらせ、圧力、脅迫などありとあらゆる手段を弄してきた。
アムネスティはこれまでに、特に戦争を批判した著名人に事実上「スパイ」を意味する「外国エージェント」の烙印を押す傾向が強まっていることも調査などで明らかにしてきた。こうした烙印を押されると、私的あるいは仕事上での厳しい制約、失職、スパイや裏切り者呼ばわりなどに直面することになる。
ロシア当局はこれらの抑圧的な法律を廃止し、思いを語っただけで拘束されている人びとを全員、即時無条件に釈放し、表現の自由を保障すべきだ。
国際社会は、ロシアの活動家が直面している問題をロシア当局に提起し、国内外で虐げられている人びとを支援すべきだ。支援には、裁判への出席、公正で実効性ある庇護手続きの保障、ロシアにおける人権侵害に対する国際的対応の強化などがある。
アムネスティ国際ニュース
2023年7月20日
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