日本:改定入管法施行後の世界において国際難民法・国際人権法に沿った対応を求める決意声明

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2024年6月13日
[NGO共同声明]
国・地域:日本
トピック:日本の難民・移民

本日2024年6月10日、昨年国会で可決成立した入管法が施行されます。同改定入管法は、国際基準に合致していない日本の難民認定制度及び入管収容制度を、人権の尊重される状態から更に遠ざけるものであり、本日以降、多くの難民申請者の命や人権を脅かすことが危惧されます。

  1. 「送還停止効外し」による「ノン・ルフールマン原則違反の強制送還」の危機

    経過措置等があるにせよ、今後、2回の難民認定申請手続(審査請求手続を含む)が終わった者・無期若しくは3年以上の拘禁刑に処せられた者らが、難民認定申請手続中でも順次強制送還されていく危険があります。日本において「難民鎖国」は今日も継続しております。難民該当性審査の適正が担保されないままに送還停止効が解除されて強制送還が強行されれば、送還後に生命や自由が脅かされる可能性があり、「難民」として国際法上保護しなければならない人たちを容易に取りこぼす危険が高いと評せざるを得ません。即ち、難民の地位に関する条約33条、拷問等禁止条約3条、強制失踪条約16条等も保障するノン・ルフールマン原則を損なうことを強く懸念します。

    私たちは、今後とも、日本の政府と入管庁に対して、国際難民法・国際人権諸条約の遵守を更に強く求めつつ、国内外の利用可能なあらゆる法的措置若しくは合法的手段を以て、日本政府・入管庁がノン・ルフールマン原則を破る送還を決して許さない姿勢を貫くことをここに宣言します。
     
  2. 国際人権法違反の入管収容の維持と「監理措置」への危惧

    改定入管法施行後の世界にあって恣意的で国際人権法違反となる、司法審査なき原則収容主義・無期限収容主義が存置されたまま、「監理措置」が開始されます。この制度は、監理人が被監理者の私生活を監視して入管に対して過料の制裁付きの報告義務を負う制度であるため、監理人に過度に重い負担が課されます。従って、監理措置制度を利用することが出来る者は、監理人を立てることのできる者たちに限られ、その他の者たちにつき、収容が更に長期化することが強く危惧されます。その厳しい情勢の中で、私たちはなお入管法において存置された「仮放免許可制度」を含む国内外の法制度の利用を躊躇わずに、違法な収容を解くためにあらゆる手を尽くすほか、入管収容制度を、国際人権法に合致したものに改正するように求め続けます。更に、難民認定・補完的保護・在留特別許可取得による救済も速やかに得るべく尽力し、難民認定申請者らの人権保護を目指します。
     
  3. 退去命令拒否罪(送還忌避罪)発動の危険

    退去命令拒否罪(送還忌避罪)については、現状、イラン出身者が主要な標的とされる模様ですが、イラン出身の難民認定申請者は、カナダでは9割以上が認定されており、その相当部分が難民該当性を極めて慎重に審査されなければならない申請者たちです。そのことに鑑み、本来、難民として保護されなければならない者たちが刑事罰に脅え苦しむが如き状況にならないよう、日本政府及び入管庁に国際難民法・国際人権法の遵守をさらに強く求めていきます。
     
  4. まとめ

    私たちは、2023年の入管法改悪で日本政府及び入管庁によって作出される更なる違法状態(国際難民法違反・国際人権法違反)を強く懸念し、改めて抗議するとともに、国内外の法的手段を利用し、遵法精神及び遵法行為を日本政府及び入管庁に強く求め続けることを決意し、同時に、国際難民法及び国際人権法に則った真の入管法改正・難民保護法成立を目指すことを、ここに宣言します。
     

2024年6月10日

入管を変える!弁護士ネットワーク
アムネスティ・インターナショナル日本 入管・多文化共生チーム

注:「国際難民法」には、難民条約だけでなく難民議定書・国際慣習法化している難民法上のルールも含まれます。