- 2026年4月14日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:インド
- トピック:死刑廃止

2020年にP・ジャヤラジさんとP・ベニックスさんが勾留中に拷問を受け死亡した事件について、タミルナドゥ州マドゥライ市の裁判所は、9人の警察官に死刑判決を下した。
今回の判決は、警察による拷問との長い闘いにおいて、インドでは珍しく責任追及が行われた形であり、全土に衝撃を与えた犯罪の残虐性を認めたものだ。しかし、この死刑判決は正義ではない。むしろ、警察の監視と責任追及のために必要とされる根本的な改革から目をそらすものだ。人権侵害を別の人権侵害で罰しても、暴力は終わらず、ただ問題を永続させるだけだ。
必要なのは構造的な改革だ。インドは「拷問等禁止条約」を批准しなければならない。同条約の批准は国に法的拘束力を課すものであり、国内における答責の仕組みを強化するものだが、当国はこれを長年先送りにしてきた。批准だけでは拷問を終わらせることはできない。しかし、より広範な解決策の要素として、極めて重要だ。解決のためには他に、独立した拷問禁止法、独立した調査、既存の保護措置の厳格な執行などが考えられる。また、インドは国連拷問特別報告者の訪問を受け入れるべきだが、訪問要請は1999年以来、無視され続けている。
死刑は、残虐で非人道的かつ品位を傷つける、究極の刑罰である。それは拷問を阻止するものでもなければ、制度的な変革をもたらすものでもない。ジャヤラジさん、ベニックスさん、そしてその他何千人もの人びとに対する正義は、彼らの死を招いた制度を抜本的に変え、二度とこうした悲劇が起こらないようにすることにこそある。
背景情報
死刑判決に加え、裁判所は警察官に対し、遺族へ合計1,400万ルピー(約2,400万円)の賠償金を支払うよう命じた。
ジャヤラジさんと息子のベニックスさんは、2020年6月、タミルナドゥ州のサタンクラム警察に、新型コロナウイルス感染症の規制違反を理由として拘束された数日後に死亡した。彼らは勾留中に性暴力を含む拷問を受けていた。2人の死で、日常的な拷問、不十分な監督、既存の法的保護措置にもかかわらず根強く残る不処罰の風潮といった制度的な欠陥が露呈した。
国家犯罪記録局(NCRB)のデータによれば、1999年から2023年の間に、インドでは2,200人以上が警察の勾留下で死亡した。しかし、こうした死亡事件に対する有罪判決は極めて稀であり、2018年から2023年では、1件も記録されていない。
インドは、勾留中の拷問に対する警察の責任を問うための法的・制度的保障を整備している。同国の「刑事訴訟法」は、医学的検査、逮捕後24時間以内の治安判事への送致、および勾留中の死亡に関する司法調査を義務付けている。また、国家人権委員会には調査権限が与えられている。だが、こうした措置は日常的に無視されたり、実施が不十分だ。
インドが国連拷問等禁止条約を批准していなくても、拷問その他の残虐な、非人道的または品位を傷つける取り扱いや刑罰の禁止は、あらゆる状況下ですべての人に適用される国際慣習法の規範である。
アムネスティ国際ニュース
2026年4月7日
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