米国:ネバダ州でリチウム採掘が加速 先住民族の権利を侵害

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2026年5月28日
[国際事務局発表ニュース]
国・地域:米国
トピック:先住民族/少数民族

アムネスティは、米国政府がネバダ州全域で進めている新たなリチウム鉱山開発について調査報告書を公表し、一連の事業が開発の影響を受ける先住民族の自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を得ずに進められていることを明らかにした。報告書はまた、同意なしの開発が国際人権基準に違反しており、先住民族の文化、健康、水、そして環境を脅かしていると指摘した。

AIデータセンターの急速な拡大と再生可能エネルギーへの移行を背景にリチウムの世界的な需要が急増する中、米国のリチウム埋蔵量の約85%を占めるネバダ州は主要な採掘拠点となっている。

アムネスティの新たな調査はネバダ州における3つの大規模リチウム採掘プロジェクト(うち1つは稼働中、2つは開発予定)に焦点を当てて行われた。調査の結果、先住民族の先祖代々の土地に影響を与えるこれら3つの鉱山開発において先住民族の同意は一切求められず、得られていなかった。また、先住民族の権利と環境を犠牲にして、スピード、規模、利益を組織的に優先する採掘産業のビジネスモデルが明らかになった。

いわゆる「重要鉱物資源」をめぐる競争において、トランプ政権は環境保護を弱体化させながら採掘許可を加速させ、人権と環境を犠牲にして採掘を急いでいる。政治や業界の都合が優先され、先住民族の権利は隅へ追いやられる。エネルギー転換に関連する鉱業は、コンゴ民主共和国からフィリピンに至るまで、すでに深刻な人権侵害を引き起こしていることがアムネスティの数々の調査でわかっている。自己決定権の侵害、先祖伝来の土地への制限、強制移住と生計手段の喪失、そして重大な健康被害をもたらす環境汚染など、その実態は多岐にわたり、世界的に問題となっている。鉱業会社は、事業を展開する場所を問わず、また国内法の不備に関わらず、国際的な人権基準を尊重しなければならない。

鉱山開発計画の不当な強行

アムネスティは、現地を訪れ開発計画中のリチウム鉱山プロジェクトによって影響を受ける先住民族および部族のメンバー20人に聞き取り調査を行い、さらに11人にリモートで詳細に話を聞いた。多くの人が、米国政府が不当にプロジェクト計画を強行したと感じていると述べた。

タッカー・パス鉱山開発計画の影響を受けるフォート・マクダーミット・パイユート・ショショーニ族のシェリー・ハーホさんはこう嘆く。「必要なはずの同意が、ここでは成立していません。コミュニティから真の同意は一切得られませんでした。私たちはただ不当に押し切られたのです。私たちの部族は経済的に困窮しており、当時の状況を理解していなかったために、利用されたと感じています。この鉱山は私たちの故郷、私たちの生活様式を破壊するでしょう。なぜよりにもよって先住民族が犠牲にならなければならないのでしょうか? 私たちは人間であり、他の人たちと同じように大切な存在です」 

鉱山開発に反対するドリース・サム・アントニオさんも「企業が入ってくるべきではない場所です。この土地は私たちの祖先がいる場所。だからこそ私たちは土地を守ろうとしてきたのです」と訴える。ドリースさんは1865年のタッカー・パス虐殺事件(州騎兵隊の襲撃で先住民らが殺害された事件)の生存者3人のうちの1人、オックス・サムさんの直系の子孫であり、2023年に先住民主導で行われた鉱山開発反対の「祈りのキャンプ」の指導者だ。

同意は一切求められず

米国は、リチウム開発プロジェクトが進められている土地の多くを「公有地」と分類している。しかしこれは入植者植民地主義のもとで進められてきた土地収奪の長い歴史の上に成り立つ分類であり、国際人権基準の下では、こうした土地の多くは、伝統的に所有し、居住し、あるいは利用してきた先住民族に帰属する。自己決定権や自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意に関する権利など先住民族の権利は、彼らの土地と生活様式に影響を与えるすべての事業計画や決定において全面的に尊重されなければならない。

アムネスティの調査の結果、3つの鉱山開発プロジェクトすべてにおいて、同意は一切求められておらず、先住民族との間で協議が行われた場合においても、同意を得ることは目的とされていなかった。各プロジェクトが同意なしに進められる中で、米国は国際人権基準に違反し、先住民族が何世代にもわたって直面してきた収奪の構図を繰り返している。

鉱業活動は人権を侵害してはならない

ネバダ州では現在、稼働中のリチウム鉱山は1つだけだが、開発計画の拡大は憂慮すべき規模とペースで進んでいる。2024年9月時点で、州全体で23,500件以上のリチウム採掘権が登録されており、先住民族の権利を保護するための措置を直ちに講じる必要がある。

先住民族が同意するか拒否するかを決める権利を米国政府が尊重していないことは、深刻な問題だ。

開発対象となっているリチウム鉱床の多くは、先住民族の先祖代々の土地に位置しており、これらの土地は、先住民族の文化的アイデンティティ、精神性、そして生活にとって重要な意味を持っている。また、ネバダ州の乾燥した高地砂漠地帯におけるリチウムの採掘と加工は、水源と生物多様性を脅かし、水、健康、文化、そして清潔で健全かつ持続可能な環境に対する権利を侵害する。再生可能エネルギーとAIデータセンターインフラに対する需要が加速する中、先住民族の権利を尊重せずに採掘プロジェクトを急ピッチで進めることは、歴史的な被害をさらに悪化させることに他ならない。

連邦法および州法の早急な改正が必要

アムネスティは、米国政府に対し、先住民族の祖先伝来の土地に影響を与えるあらゆるプロジェクトを承認する前に、先住民族の自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意を義務付けるよう、連邦法および州法を早急に改正することを求めている。収益性の高いリチウムプロジェクトに関与する企業は、先住民族の同意の権利を尊重していることを示さなければならない。同意は、自己決定権の根幹をなすものだ。

アムネスティの要請に対し、2つの鉱山を開発しているオーストラリアとカナダの企業は、プロジェクトは連邦政府所有の公有地で行われており米国法では同意は義務付けられていないとしつつ、政府主導の協議プロセスがあり、自社としても対話を行ってきたと主張した。しかし、国際基準では、国内基準が緩い場合、企業はより高い基準を遵守しなければならないことが明確に示されている。

企業は、事業を行う場所を問わず、国際的な人権基準を尊重することが求められている。先住民族の同意なしにプロジェクトを進めることは、深刻な人権侵害に加担し、企業にとっても法的、評判上、財務上のリスクを高めることになる。アムネスティの報告書で名指しされた企業は、真の同意が得られるまで、事業活動を停止すべきだ。アムネスティは、これらの企業とその投資家に対し、先住民族の自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意なしにプロジェクトを進めないよう求める。

アムネスティ国際ニュース
2026年5月12日

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