- 2026年7月 9日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:EU
- トピック:難民と移民

6月、欧州議会で強制送還の増加を目的とした新たなEU送還規則が可決され、多くの議員が「奴らを送り返せ」という掛け声でこれを祝った。これに対し、他の議員たちは「恥を知れ」と叫んで反発した。
議員たちが「送り返せ」と叫んだ醜い光景は、議会の内外で長年にわたり容認され、助長されてきた人種差別と外国人排斥の産物だ。このような悪意に満ちた言動は社会に存在すべきではなく、ましてや公的機関でこれほどあからさまに表明されるなどあってはならない。
欧州議会のロベルタ・メッツォラ議長が、議員らによるこの人種差別的なふるまいを非難したが、それだけでは不十分だ。公の場で、ますます露骨な人種差別が再び表面化している今、欧州議会は今回の件を、欧州全土に根強く残る構造的人種差別に真正面から向き合う機会としなければならない。
長年にわたり、欧州の政治指導者たちは、公共サービスの削減、住宅危機、生活費の高騰といった問題への対応に失敗した責任から目をそらそうと、移民、難民、庇護申請者を問題の元凶であるかのように扱ってきた。
今や、取り繕うことさえしなくなった。こうした掛け声は、EUの送還規則の根底にある人種差別や外国人排斥の考え方をあらわにしている。同規則は、EUによる非正規滞在者の収容と強制送還を大幅に拡大するもので、人種差別の対象となってきた人びとに特に深刻な影響を及ぼす。
EUが近年にない規模で移民の権利を後退させようとしている中、今回の出来事は、この流れを改めなければ何が待ち受けているのかを示す警鐘だ。欧州議会は、人権を後退させようとする勢力への迎合をやめるべきだ。人種差別や外国人排斥が欧州議会を代表する声となってはならない。
植民地主義、奴隷制、ジェノサイド、ホロコーストという血塗られた歴史と、その負の遺産が今なお社会に影を落とす欧州は、社会的に不利な立場に置かれた人びとへの差別が当たり前のものとなればどのような結果を招くのかを、誰よりもよく知っているはずだ。
背景
議会での「送り返せ」という掛け声は、構造的人種差別が存在する欧州社会においては、移民や難民、庇護申請者はEUに居場所がなく、出身国や人種、民族を理由に排除されるべきだという人種差別的な偏見を反映したものだ。
アムネスティをはじめとする250を超える市民社会団体は、この規則の否決を明確に求めていた。同規則は拘禁、強制送還、域外での収容を主眼としており、残酷で懲罰的なものだ。とりわけ人種差別の対象とされてきた人びとに深刻な影響を及ぼし、より多くの人を法的にあいまいな状態や危険な状況に追いやることになるだろう。
アムネスティ国際ニュース
2026年7月6日
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