- 2026年10月28日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:フランス
- トピック:表現の自由

街頭デモにおける暴力行為によって生じた財産被害について、たとえデモ参加者が損害を直接生じさせていなくても、その費用を負担させるというフランスの法案は、平和的集会の自由に萎縮効果をもたらすものであり、国会議員はこれを否決すべきだ。
通称「暴徒負担法」と呼ばれるこの法案が可決されれば、暴力や窃盗、破壊行為、財産被害が発生した集会に、「そうした行為が行われていることを認識しながら」参加したと判断されれば、自ら直接行わなかった行為についても責任を問われることになる。抗議参加者には最大1万ユーロの支払いが命じられるおそれがある。賠償金を支払えない場合には、社会保障給付が差し押さえの対象となり、すでに困難な状況に置かれている家庭をいっそう困窮させかねない。また、子ども自身が実行していない行為についてまで、親が民事責任を問われる可能性もある。
フランスにおける抗議する権利を制限する内容の一連の法改正に続くこの法案は、表現の自由や平和的集会の権利を行使するために街頭へ繰り出す人びとを、さらに萎縮させかねない。
他者が行った行為について抗議参加者に責任を負わせ、その代償を支払わせることは、恣意的な処罰を招くおそれがあり、フランスの国際的義務に反する。もし可決されれば、この法案は人権保障を大きく後退させるものとなる。議員は断固としてこれを否決しなければならない。
国際法上、デモ参加者が責任を問われるのは自らの行為についてのみであり、その責任は本人による行為を示す証拠に基づかなければならない。
現在のフランスの法律では、家族の社会保障手当や住宅手当は、一般的に債務回収のための差し押さえから保護されている。この法案は、この保護にさらなる例外を設け、賠償金の回収のためにこうしうた給付金を差し押さえることを認めている。これには、子どもが起こしたとされる損害について親が責任を負わされる場合にも適用され、家族が生活に必要な支出や費用を賄うために利用できる経済的支援が減少することになる。さらに、この法案は、「積極的連帯所得手当」(生活保護に相当)からの差し押さえも可能としている。この手当は、収入がまったくないか、あるいは非常に低い人びとに最低所得を提供することを目的とした給付である。
家族手当、住宅手当、あるいは積極的連帯所得手当を差し押さえることは、最も弱い立場にある人に極めて深刻な影響をもたらすだろう。自分や家族が適切な生活水準を確保できなくなるおそれがある。
また、この法案は、公の集会で特定の重大な犯罪で有罪判決を受けた「外国人」に対する、フランス領土からの追放処分について適用範囲を拡大している。他者の身体を傷つける行為や放火などの重大な器物損壊、加重窃盗や略奪などだ。
アムネスティは議員に対し、いかなる場合においても、フランス領土からの追放処分が「ノン・ルフールマン原則」に違反するものとならないよう保証することを求めている。この原則は絶対的なものであり、在留資格にかかわらず、迫害や人権侵害の現実的な危険にさらされる場所への追放・送還を禁じている。
現行法ではすでにフランス領土からの追放処分が認められている。そのため、この改正案によって立法審議の場に排外的な言説が持ち込まれ、難民、移民、庇護申請者、および少数派に、社会問題の責任を押し付ける風潮をさらに助長するのではないかという深刻な懸念が拭えない。
背景情報
同法案は、10月27日と28日にフランス上院で審議される予定だ。
フランス政府は、2026年5月のUEFAチャンピオンズリーグ(欧州サッカー連盟主催のクラブチーム選手権)決勝戦中に起きた暴力や器物損壊事件を受け、2026年夏に「公共の場における暴力や器物損壊に起因する損害の補償と被害回復」法案、通称「暴徒負担法」を発表した。フランス当局は、2026年8月31日に海外領土で、9月18日からフランス本土で始まった抗議活動を受けて、この法案を議会の議題に上げ、審議のための迅速な手続きを開始した。
アムネスティ国際ニュース
2026年10月26日
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