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ケニア:戦火のソマリアへ帰国を強要
- 2016年11月23日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:ケニア
- トピック:難民と移民
11月末に閉鎖が予定されている世界最大規模のダダーブ難民キャンプで、役人が難民に対し祖国ソマリアに帰るよう迫っている。ソマリアでは依然戦闘が続き、帰国すれば死と隣り合わせの生活が待ち受けている。
政府は5月、治安面、経済面、環境面の問題、さらに国際社会の支援不足で、同キャンプの維持はできなくなったと発表した。キャンプには、主にソマリア人ら28万人以上が暮らしている。発表以降、政府はメディアに声明を出しキャンプを訪れ、閉鎖期日までにここを出ていくよう難民に圧力をかけている。
難民は困り果て、出ていかなければ追い出されるだけだという。
アムネスティの調査員が8月、同キャンプを訪れ、56人の難民に個別に話を聞き、さらに35人以上にグループで話を聞いた。
その中に15才と18才の兄弟がいた。二人は今年1月にソマリアに戻ったが、目の前で父親が殺され、武装組織アル・シャバーブの一員に無理やりされるという悲惨な目に遭った。その後、逃げ出して、ダダーブに戻ってきた。
さらに、ソマリアは110万人もの国内避難民を抱え、避難所、医療、教育など市民生活に大きな支障をきたしており、ダダーブからの大規模な帰国には対処する余裕など到底ない。
話を聞いた難民のほとんどが、政府担当者から言われるまでは出ていかないと話していた。
7月と8月にケニアと国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が難民に実施した調査では、母国に戻ることに前向きだったのは全体のわずか25%だった。その理由も、自主的に出て行かなければ強制退去となり、UNHCRから手当がもらえないという政府の脅し文句にあった。
ケニアが協力を訴えても、国際社会の支援は、資金も受け入れも常に不足しており、ダダーブキャンプは、極めて悲惨な状況に置かれている。
現在、世界中にいる2,100万人の難民の半分以上を引き受けているのは、わずか10カ国に過ぎない。ケニアもその一つだ。
ケニアがソマリア難民への圧力を強めるのは、国際社会の豊かな国がその責任を引き受けてこなかった結果でもある。国際社会は、ケニアがソマリア難民への帰国強要ではなく、持続可能な解決策を打ち出せるように連携すべきだ。
難民の受け入れもそうだ。また、国際社会が全面的に協力して、ケニアが難民の権利を保障し、キャンプから出て一般社会で生活できる道を探るべきだ。
背景情報
現在ケニアは50万人の難民を受け入れている。ソマリアからは33万人を超え、そのうち約26万人がダダーブキャンプで暮らしている。これまで国際社会の支援は限定的だった。UNHCRが米国に2億7,200万ドルの拠出を要請していたが、10月末現在、米国が出したのはその39%だった。2015年の第三国定住数は、5,001人でそのうち3,500人が米国に向かった。EU(欧州連合)が受け入れたのは、わずか671人だった。今年はこれまでのところ、米国で1,648人、EUでは118人だった。
ここ数年は、ソマリアを中心に活動するアル・シャバーブがケニアでの襲撃を活発化させていることもあり、ケニア当局は送還の動きを強めていた。
ソマリアは20年間に及ぶ内戦で荒廃するばかりだ。アフリカ連合の支援を受けた政府軍とアル・シャバーブの紛争は、甚大な人権侵害を生み、行政サービスやインフラなど生活基盤がずたずたにされている。
アムネスティ国際ニュース
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