- 2017年1月17日
- [国際事務局発表ニュース]
- 国・地域:スロベニア
- トピック:難民と移民
スロベニアの議会は、国際法とEU法で保障された難民と庇護希望者が保護を受ける権利を否定する外国人法の修正条項を否決すべきである。
この法案に盛り込まれた緊急措置で、当局は国境に到着する難民の入国を拒否したり、非正規に入国した移民・難民を無条件に追い返すことが可能になる。難民としての保護を求める理由や、送還後に拷問や迫害を受ける恐れがあるかどうかは、考慮されない。緊急措置の発動は、公共の秩序と国の安全が脅威にあるという政府の判断をもとに、議会が決定することになっている。
命からがら脱出した難民から庇護される権利を奪い、押し返すのは、国際法とEU法に抵触する。難民たちは安全を求め、たどり着くまでさまざまな犠牲を払い過酷な旅を乗り越えてきた。スロベニアは、彼らを保護する責任を認識すべきであり、国の安全上のリスクと捉えてはならない。
近隣諸国、とりわけハンガリーなども同様の法律を制定している。誰もが庇護を求める権利を有し、国は庇護希望者一人ひとりを十分審査する義務があるが、法案はこの両方をまったく蔑ろにしている。
また、この措置には、送還され拷問や迫害を受けるリスクから保護される権利(ノン・ルフールマンの原則)が反映されていない。強制送還は、次の強制送還と迫害を生む可能性がある。例えば、スロベニアへの入国を拒否され、クロアチアに戻された難民が、受け入れ体制が不十分なセルビアやブルガリア、ハンガリーなどに送られる可能性だ。
一方、スロベニアは、措置導入に際して健康や生命に差し障りがある難民は除外される、としているが、ろくな審査もない状態でどのようにしてその除外を担保するのだろうか。
すでに悲惨な状況にある人びとをさらなる危機にさらす緊急措置は、断固排除しなければならない。
背景
この措置の導入は、議会の3分の2以上の賛成と、難民受け入れが公序良俗に深刻な脅威となるか否かに対する政府の判断が前提となる。
アムネスティ国際ニュース
2017年1月5日
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