- 2005年6月16日
- 国・地域:スーダン
- トピック:地域紛争
「今回の発表は、ダルフールでの殺人、大規模な強制移転、そして強かんの被害者たちに正義と説明責任への希望をもたらすものだ」アムネスティ国際事務局アフリカ・プログラムのコラウォレ・オラニヤン部長はそう語った。
「しかし、ダルフールの人びとにとって真に意味のある捜査の実現のためには、スーダン政府側がICCの捜査に対して、被害者や証人の保護、ICCの逮捕状が出ている者を検挙し引き渡すことなどを含む全面的な協力を行う姿勢を示さなければならない」
「被害者は正義を求めているのであって、政府のうわべだけの対応を求めているのではない。政府は、いまだに大規模な強かんが行われた事実を否定し、ダルフールで行なわれている犯罪に取り組む能力も意思もないことを示している。すべてを失い、キャンプで苦悩と不安の中で3年目を迎えている被害者へ補償がなされるべきである」
ICCの今回の声明は、2005年1月にICCへの付託を勧告した国連の国際調査委員会の報告書に基づいており、ICCに対してダルフールの事態を付託した、3月の国連安保理決議1593に従ったものである。
「われわれは、ICCの捜査が、政府高官や武装勢力や武装民兵の幹部などの、殺人や強かん、大規模な強制移転といった犯罪を実行した者や指示した者、あるいは容認した者たちすべての訴追に結びつくことを願っている」と、オラニヤン氏は述べた。
ダルフールでは、5万人以上の人びとが、政府軍と政府当局に支援された武装民兵ジャンジャウィドによって不法に殺害され、超法規的に処刑されている。180万人以上の人びとが今もなお強制的に住む家を追われている。何千人もの女性たちが強かんされ、この被害は現在も続いている。また、反政府軍も人道的な輸送車両を攻撃している。
スーダン政府は武装民兵ジャンジャウィドの武装解除に失敗し、犯罪者として告発されている者たちを裁判にかけることもできないでいる。スーダン政府が、戦争犯罪を行なったとして告発されている者たちを国際的基準を満たした公正な裁きにかけることでICCの任務を補いたいと考えるならば、同国の司法制度は緊急に再建される必要がある。
捜査を開始するというICC検察官の今回の決定は、ICCの捜査はリビアのムアマル・アル・カダフィが主導するアフリカ連合の和平構想を妨げるかもしれないという想像から、捜査を遅らせようとする圧力への、歓迎すべき拒絶である。アムネスティは、検察官の声明の中で、伝統的な和解方式は被害者のための正義を代替するのではなく、「補完する」べきである、と述べられたことを歓迎する。
「正義は平和への障害物であるかのように見なされるべきではなく、集団ではなく個人の責任を問うことを通じて恒久的平和を構築するための、欠くことのできない土台の一部と見なされるべきである」と、オラニヤン氏は語った。
スーダン危機および国際刑事裁判所についてさらに詳しく知りたい方は:
http://amnesty-news.c.topica.com/maadBnWabhB8sceLDyPb/ [英文]
https://www.amnesty.or.jp/ [和文]
アムネスティ発表国際ニュース
(2005年6月5日)
AI Index: AFR 54/058/2005
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